バイデン氏「(中国は)特別な難題」
バイデン氏は、米外交誌『フォーリン・アフェアーズ』への最近の寄稿では、中国を「特別な難題」と呼んだ。副大統領として中国指導部と過ごした時間が自分に専門知識があることの証しだと指摘した上で、「中国に厳しい態度で臨む」ことが必要だとし、同盟国と協力しなければならないと強調。WSJ(8月4日付)は、中国問題について次の質問をしている。
1)中国に対するトランプ関税を維持するのか
2)環太平洋経済連携協定(TPP)に復帰するのか
3)南シナ海における中国の軍事化を撤回させる手だてがあるとすれば、それは何か?
4)民主主義を求める香港の人々や新疆ウイグル自治区のイスラム教徒のためにさらにできることはあるか?
上記の点について、バイデン氏がトランプ氏との違いを出すとすれば、(2)と(3)であろう。人権問題について、トランプ政権も厳しい線に立っている。「人権の民主党」とすれば、さらに一段と厳しい要求を中国へ突付けるとすれば、新疆ウイグル自治区の人権弾圧阻止の具体策が求められる。現状が、言葉や文字の上での「要求段階」は終わっているからだ。
<(2)環太平洋経済連携協定(TPP)に復帰するのか>
これは、米中デカップリングの決定打になる。
TPPは、米国という世界最大の市場から中国を排除することだ。米国のTPP復活は、是が非でも実現させるべきである。まさに、バイデン氏が主張する「同盟国とともにあること」を証明してみせるはずだ。
TPPは、もともと中国経済に大きなダメージを与えるために考案されたものである。
<(3)南シナ海における中国の軍事化を撤回させる手だてがあるとすれば、それは何か?>
南シナ海で中国から被害を被っている国々をできるだけTPPに参加させることだ。そのためには、米国が100の利益を得べきところでも、少々の譲歩をして米国の同盟国や友好国を一丸とする包囲網づくりに努力することである。
トランプ氏は、同盟国を粗略に扱う悪いクセがある。これを改めて結束すれば、中国に反省の機会を与えられるはずである。
米国は、トランプという我武者羅な大統領によって、米中対立路線がもはや変更不可能はところまで進んでいる。米国民は、米中冷戦を既成事実として受け入れているのだ。
中国は、この現実をどう理解するかである。習近平氏という希代な民族主義者に率いられ、「中華再興」の夢に酔っている。極めて危険な賭けである。
戦前の日本は、「アジアの覇者」を目指して自滅した。現在の中国は、世界覇権を狙っている。その資格はないのだが、「秦の始皇帝」気取りで、「世界の皇帝」を目指している。