中国の環境無視と経済優先が地獄をもたらす
中国には、さらに悪い材料が控えている。異常気象が、中国だけにひときわ強く表われることである。
米マサチューセッツ工科大学の研究チームは、中国の華北平原が、気候変動と集中灌漑によって、生命に危険を及ぼすほどの猛暑に脅かされているとの研究を公開したのである。『ニューズウィーク』(2018年8月2日付)が報じた。
華北平原は、中国最大の沖積平野で、人口およそ4億人を擁する人口密度の高い地域であるとともに、灌漑農業が盛んなエリアでもある。とりわけ、集中灌漑は、温度と湿度を上昇させ、より厳しい熱波をもたらす危険性が高いと警告している。
研究チームでは、マサチューセッツ工科大学地域気候モデルを使ったシミュレーションによって、気候変動が灌漑という人為的影響にさらなる作用をもたらし、華北平原における猛暑のリスクをどれだけ高めるかを予測した。それによると、温室効果ガスの排出量が大幅に削減されないかぎり、2070年から2100年までの間に、湿球温度35度以上の猛暑に見舞われる可能性があることがわかった。
研究チームは、暑い天候下での生存可能性を評価する指標として、気温と湿度を複合した「湿球温度」を採用。「湿球温度が摂氏35度(華氏95度)に達すると、健康な人間でさえ屋外で6時間以上生存することは困難」とされている。華北平原では、気候変動と灌漑との複合的影響による湿球温度の上昇幅が摂氏3.9度で、灌漑による上昇幅(0.5度)と気候変動による上昇幅(2.9度)とを足した数値よりも高くなるという。
中国の政治的主要地帯が、夏になれば屋外で6時間以上、生存困難という地獄になる。想像しただけで身の毛のよだつ話だ。
これが、環境破壊も顧みず経済成長に励んできた中国への「報い」であろう。
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経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。