マスク8,000万枚の追加配布発表とその断念ほか、安倍政権の迷走が止まりません。GoToトラベルの次は「ワーケーション」などという言葉も飛び出し、困窮する国民を救うための大胆な策はまったく出てこない危機的状況にあります。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2020年7月29日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
失政もコロナ拡大も止まらない
直近の報道ではまた安倍政権が介護施設や保育園に布マスク8,000万枚を配布することとなったようで、誰も要らないこのマスクを追加発注したのかと思いきや、すでに発表時には依頼済みという悪辣さで、とうとう国民1人当たり500円もかけてこの粗悪マスクの配布を決めてしまったというから開いた口が塞がりません(※編注:原稿執筆時点7月29日。政府は30日、予定していた介護施設などへのマスク追加配布を断念し、ニーズ調査を踏まえて再検討するとしています)。
無駄遣いによるある種の犯罪性すら感じさせられるわけですが、「継続は力なり」のような意味不明の発言をして菅官房長官は延々とこの政策を続けることに何の問題も感じていないようです。
現状のコロナ感染はもっと危機的な状況にあるはずなのに、政権・政府がやることといったらこの誰も使わないマスクのアリバイ的な配布のみ。安倍首相などは事実上の夏休みに入っているといいますから、驚くこと至極です。
この政権で危機的な原発事故などの災害が起きたら本当に大量に死人が出ることになるのではないかとぼんやり思っていましたが、新型コロナウイルスでいよいよそれが現実のものになりそうです。
100年前のスペイン風邪のように収束するまで2年の歳月が今回もかかるとした場合には、2022年の春までこの壊滅的経済状況を延々と続けていくことになるのかと思うと、本当にこの先2年も生き延びられるのかどうかかなり心配になります。
「会社行くな → 旅行行け → 旅行先で働け!」というパラドックス連発
ところでこの政権は実は何もしないにも関わらず、一貫性のないパラドキシカルな情報を国民に与え続けています。
ここまでの菅官房長官の発言だけをとってみても、財界にはすでに7割の従業員がテレワークで対応して会社に来ないようにとしきりに要請しています。
しかしその一方で、国民には新しい生き方であると称して旅行に出かけるように仕向けており、実際に「Go To Travel」などという文法的に大間違いな名前のキャンペーンは粛々と始まってしまっています。
さらに直近では誰に吹き込まれたのか知りませんが、「ワーケーション(ワーク+バケーション)」などという旅行先で仕事をするとかいう造語を持ち出して、推奨しようとしています。
そもそも国内では本格的なテレワーカーは事務職の3割にも満たないという数字がありますし、普通のリモートワークでも四苦八苦しているのに、ITのセキュリティもない旅行先に端末を携行して一体どういう仕事をすることを想定してこういう事を口にしはじめているのでしょうか?
菅官房長官は、安倍首相を支える経産省官僚とは極めて仲が悪いそうですから、ほかのルートからの差し金なのかもしれません。
足元では、旅先でそれなりの成果物をまとめて会社に提出できる、高度なワーケーションを実現できる人物などほぼ皆無なのではないかとさえ思う次第です。
まったく現実的に、何の仕事を想定してこのような話を国民にするのか。まったく理解できないというが率直が感想です。