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今週末にも1ドル104円? 日経平均に2,000~3,000円の下落余地=長谷川雅一

先週の記事で、「5月末には、米ドル/円が108円になっているかもしれない」と書きました。ところが、5月を待たずに米ドル/円は、一時107円台に突入しました。週末の終値も108円すれすれの円高水準で引け、11日以降、さらにもう一段の下落がありそうな形です。(『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』)

プロフィール:長谷川雅一(はせがわまさかず)
1959年、岐阜県生まれ。株式会社プレコオンライン(金融商品取引業)代表取締役社長。2000年より株式投資の研究を始め、日本で初めて「株の自動売買」という言葉を使った著書を出版。株式投資の世界では、「株の自動売買」ブームの火付け役として知られている。現在は、自動売買ソフトの開発、投資教室、メルマガの執筆など、多忙な日々を送っている。

円高止まらず、日経平均の底値メドは14,000円~13,000円付近

今週末にも1ドル=104円に?

週末のドル/円終値は108円すれすれの円高水準で引け、為替レートは、2014年10月、つまり「黒田バズーカ」前の水準に戻っています。

下落方向に勢いがついた米ドル/円のチャートは、いぜん下げ止まった形にはなっていません。11日以降、さらにもう一段の下落がありそうな形です。

経験的に、米ドル/円の短期的な上下変動は「最大で10円幅」になることが多いのですが、今回の下落は114円からスタートしていますので、今週中(4月15日まで)に、ドル円は104円まで下落する可能性がある、ということになります。

いっせいに「円買い」に走るトレーダー達

為替相場には、いつも「方向を決めたがる傾向」があります。そして、いったん方向が決まると、多くのトレーダー達が、いっせいにその方向に向かって猛ダッシュします。

あるときは「円安だ!」と方向を決めて、みんながいっせいにドルを買う(円を売る)。またあるときは「円高だ!」と方向を決めて、みんながいっせいにドルを売る(円を買う)、というように。

今、為替相場は完全に「円高」の方向に向いています。「円買い(ドル売り)」が大ブームになっているわけです。

こうなると、誰もが「ドル売り(円買い)」をやらざるをえません。流れに逆らってドルを買っても、損をしてしまうからです。

そのために、「ドル売り(円買い)が、さらなるドル売り(円買い)を呼ぶ」形で、円高方向への動きが加速しています。

また、今のように誰もが「円高が続く」と見ているときには、「1ドル=85円まで円高が進む」といった、少し極端な予想が聞かれるようにもなります。

為替相場は「10円幅」で乱高下する

ただ、株価にせよ為替レートにせよ、行き過ぎれば戻ります。米ドル/円に関しては、来週中にも104円があるかもしれませんが、105円付近まで下げると、さすがに「短期的には下げすぎ」となりますので、反発があるでしょう。

反発すれば、こんどは最大で115円付近までの戻りがありえます。流れが逆になれば、逆方向(ドル高方向)に10円動く可能性がある、ということです。

これが「FXの恐さ」です。こうした為替の荒い値動きに、しっかり対応するトレードをしないと、簡単に破産してしまいます。

FXでは手持ち資金の25倍の投資が可能なので、ロット数(取引数量)が大きくなりすぎる傾向がありますが、トレードでは、とにかくロット数を増やしすぎないことが大切です。

今のような急落相場で取引数量が大きくなりすぎると、多額の評価損が出て強制ロスカットになり、投資資金を失ってしまいます。

Next: 14,000円~13,000円付近が日経平均のテクニカル的な底値



14,000円~13,000円付近が日経平均のテクニカル的な底値

米ドル/円が108円なら、日経平均は13,000円でも、おかしくありません。しかし、株式市場は、ここまで円高が進んでいる割には、まだそれほど大きく下げていません。

金曜日の日経平均株価は15,821円と、前日比+71円で引けていますし、日経225先物や、CFDの「日本225」も15,800円前後をキープしています。

金曜日の株式市場では、政府の買い支えが断続的に入りました。それが株価の下落にブレーキをかけたようです。

月曜日以降の日経平均株価も、政府の買い支えがどの程度入るかによって、状況が変わってくるでしょう。

ただ、円高傾向が止まらない限り、株安傾向も止まらないのが普通です。為替が104円を目指す円高の動きが継続すれば、日経平均も15,000円割れを試す方向に動くのが自然でしょう。

日経平均のテクニカル的な底値は14,000円~13,000円付近です。あと2,000~3,000円ほどの下落余地があると言えますので、買いを考えている方は、あわてずに、さらなる安値を待った方がいいのではないか、と思います。

安値を待ちすぎて「買えなかった」としても損はしませんから。

「アベノミクスに効果なし」が投資家の結論

このところの円高、株安は、「アベノミクス」の巻き戻しです。

つまり、「アベノミクスで経済がよくなる」と予想してドルを買い(円を売り)、株を買っていたトレーダー達が、「アベノミクスに効果なし」と見切って、逆のトレード(ドル売り、円買い)を始めたのです。

参議院選挙を控え、政府は人気取りに躍起になっていますが、残念ながら現政権に日本経済を改善する能力がないことは、もはや明白でしょう。すべてが「その場しのぎ」のパフォーマンス的な政策ばかりで、抜本的な経済対策が実行されないからです。

のみならず、「国債を日銀が買い占める」「マイナス金利導入」といった、後先考えない経済政策には副作用が伴います。

また、現政権は、独裁色が強く、秘密主義で、憲法無視、国民の基本的人権も認めない(自民党の憲法改正案を見れば明らか)など、なにかと問題が多く、いったん崩れ始めたら、一気に崩壊しかねません。

政府の巧妙な言論統制の効果もあり、まだ、多くの国民は、この政権の危うさに気づいていませんが、投資家達は一足先に、「安倍政権の経済政策は、もう限界だ」と判断し、行動を起こした。それが、現在の「円高、株安」の真相ではないか、と思います。

Next: 「消費税凍結」でも株価は上がらず/株価も為替も「自然な水準」に戻る



「消費税凍結」でも株価は上がらない

この先、政府は、伊勢志摩サミット参議院選挙といったイベントに対応する、小手先の経済政策をいくつか出してくるでしょう。

しかし、何をやっても、効果が薄いか、効果がないか、下手をすれば逆効果に終わる可能性が高いと思います。効果があったとしても一時的でしょう。

たとえばウワサされている「消費税凍結」。これも庶民感覚から見れば「税率アップの凍結は当たり前」であり、「現状維持」ですから、景気をよくする効果など期待できません。

景気対策を考えれば、「消費税撤廃(0%)」が理想的です。せめて「消費税を5%に戻す」ぐらいのことをやらなければ効果はありません。「消費税凍結」で株価が上がることはないでしょう。

株価も為替も「自然な水準」に戻る

安倍政権の経済対策によって上昇した株価や、為替レートは、実体経済を反映しない、不自然なものでした。安倍政権が無力化する中、この先、為替レートや株価は、もとの「自然な水準」を目指すのではないかと考えます。

日経平均株価の週足の200MA(200日移動平均線)は、15,000円付近にあります。この「自然な水準」に、日経平均は、すでに近づいています。このあと日経平均が13,000円まで下がっても「自然な水準」の範囲内です。

為替(米ドル/円)の週足の200MAは105円付近で、現在の為替レートも、すでにこの「自然な水準」に近づいています。やはり、このあと為替レートが95円まで下がった(円高になった)としても「自然な水準」の範囲内です。

日経平均株価 週足(SBI証券提供)


米ドル/円 週足(SBI証券提供)

2016年の相場は大変

2016年の相場は、このあとも、なかなか大変そうです。「買い」だけでなく「カラ売り」や、インバース型、ベア型のETFなども使いつつ、下落相場に対応するトレードが必要でしょう。

また、「株だけ」「為替だけ」を見るのではなく、総合的にマーケットを眺めながらの投資判断が必要だと思います。

どうやら、2016年は、投資家にとって「攻撃」の年ではなさそうです。儲けることより「守り」を固める、つまり、損をしないことを優先して考える必要がありそうです。

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長谷川雅一のハッピーライフマガジン』2016/4/10号より一部抜粋
※記事タイトル・太字はMONEY VOICE編集部による

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