マネーボイス メニュー

東京五輪、海外選手“特別入国”のウラ事情と開催中止へのシナリオ=原彰宏

政府は「来年の東京五輪開催を目指して」約1万人の海外選手を特別入国させる方針です。これは一見明るい材料ですが、開催中止を前提とした深謀遠慮の可能性もあります。今回はマスコミが報じない裏事情をまとめてご紹介します。(『らぽーる・マガジン』原彰宏)

(筆者注:あくまで「情報共有」ということで、知り得た情報を個々でご紹介しています。どうしても政権批判のような流れになってしまいますが、真実を知るべきだという意味で「情報共有」しようと考えているもので、イデオロギーの違いを述べているものではありません。イデオロギーや感情とはまったく関係なく、事実のみを記載しています。)

※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2020年10月2日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

海外五輪選手へ特別入国の方針

来夏の東京五輪・パラリンピック開催に向け、政府などは9月23日、新型コロナウイルスの陰性証明や日本国内での行動計画書の提出などを条件に、海外から約1万人の選手を受け入れる方向で検討していることを明らかにしました。

入国後2週間の待機(隔離措置)も免除し、選手が試合や練習に参加できるよう調整します。

素案によると、海外の選手は出国前の72時間以内に検査を受けてもらい、陰性証明を得て来日し、入国直後に空港での再検査後、事前に提出した行動計画書に沿って行動してもらうことになっています。

入国後の選手村への移動や、選手村と競技・練習会場との往復は組織委が専用車を用意する。ホストタウンなどを経由する場合は各自治体が車を準備し、公共交通機関の利用を原則控えてもらう方針で、このほか、ホストタウンや事前キャンプ地の自治体に対し、感染防止策を踏まえた受け入れマニュアルも作成してもらうとしています。

10月には、全世界から日本国内入国を許可する方向で検討、というかすでに準備を進めているようです。

五輪中止でも「日本はやるつもり」のアピールは必須

これらは徐々に、来年の東京五輪・パラリンピックは実施するという方向づけをアピールしているようにも思えます。

来年、もし東京五輪・パラリンピックが開催中止になったとしても、日本はやるつもりであることは十分にアピールすることはできます。

あくまでも開催中止を決めるのは国際オリンピック委員会(IOC)です。

また直近のニュースでは、東京オリンピック・パラリンピックの簡素化について、IOCと大会組織委員会は52の項目で見直しに合意し、大会関係者の数を少なくとも10パーセントから15パーセントほど減らすなどして、延期に伴う経費削減を具体的に進めていくことになったと報じています。

東京五輪・パラリンピックは行われるのでしょうか…。

タイムスケジュールで言えば、東京五輪は来年7月スタートと思っているでしょうが、聖火リレーが3月に始まるので、開催の是非は3月までに明確にしなければなりません。

世界各国は自国アスリートを参加させるのか、選手選考の大会は開かれるのか、いろいろ疑問があります。

とにかく東京五輪開催ありきで、“日本は大丈夫アピール”は、それこそ大丈夫なのでしょうか。本当にアスリート・ファーストと言えるのでしょうか。

Next: やはり東京五輪の中止は既定路線か。マスコミ報道の不自然



大手メディアのすべてが東京五輪のスポンサー

ここに来て未だに、東京五輪・パラリンピック開催の基準、開催判断の数字なり具体的な項目なりが、何ひとつ報じられていません。

マスコミがスポンサーで当事者なので、マスコミが心配をしているふりをしながら、東京五輪開催期待に報道を振る(国民の意識を誘導する)という、選手は頑張っているなどの情緒的放送ばかりが目立ちます。

「安倍政権下でマスコミは終わった…」「菅政権でマスコミはとどめを刺される…」と言った声も聞かれます。

マスコミ対策は、首相動静でもわかるように、安倍総理はマスコミトップと会食を繰り返し、菅官房長官がコメンテーターを懐柔し、今井秘書官が現場を押さえることで、マスコミ対策を万全に行われた結果が、今のマスコミです。

東京五輪・パラリンピックのスポンサーは、日本の大手メディアすべてです…。

菅政権肝いり「デジタル担当大臣」

次の情報共有は、菅内閣の目玉として入閣した「デジタル担当大臣」について。平井卓也担当大臣は、電通出身の四国新聞御曹司です。

世間一般の感情としては、どうしても“たたきたくなる”経歴にも見えますが、そんな嫉妬感情での話ではなく、永田町を知る人の間では、平井氏のことを「ネット監視のリーダー」「反政権者をネットで潰すウラの仕掛け人」と言っているそうです。

ワイドショー的ネタでは、国会審議中にワニの映像をタブレットで見ていたことが話題になっています。

完全に政権に牛耳られているマスコミは、タブレット片手に答弁を行う平井議員を映し出して「ネットに明るい」「ITに強い」というイメージを植え付けているようです。

菅政権に国家ビジョンはないと言われています。

縦割り行政打破の旗印でデジタル庁を創設するのは良いですが、具体的に何をするのか、デジタル化によりどういう国家ができるのかは、何も示されてはいません。

そもそも個人情報を無条件で提供させられる一方で、それを運営管理する側の不正に対する罰則強化の話は、何も出てきてはいません。

罰則規定の話だと法務省も関わってくる話で、デジタル担当大臣だけでは物事は進められないことは明らかです。

Next: マイナンバーカード普及だけは熱心。個人情報の管理は大丈夫か?



マイナンバーカード普及だけは熱心。個人情報の管理は大丈夫なのか?

デジタル化の名のもとで今決められているのは、マイナンバーカードを普及させることで、そのために免許証と健康保険証をマイナンバーカードに一体化させるなどを行っています。

また、政府は来年にも、個人のマイナンバーと預貯金口座を連動させる方向です。個人向けの給付の手続きなどをマイナンバーカードだけでできるようにすることが目的ですが、義務付けはせず選択制にする見通しとなっています。マイナンバーカードと銀行口座の紐付けは、来年1月召集の通常国会で法整備をめざします。

菅総理としては、日本がデジタル化に遅れていることを国民は憂いているという空気を利用している感じです。

個人情報の扱いに関しては、お隣の韓国も進んでおり、北欧では積極的に個人情報管理が進められていることを例にあげて、日本でもマイナンバーカード普及の必要性を訴えています。

確かに社会インフラ、行政の円滑化など、個人情報管理は必要であることは理解していますが、最も大事な国民と政府の信頼関係に問題があるということを、なぜマスコミは報じないのでしょう。個人情報が吸い上げられることへの抵抗感だけを前面に出して、反対する人々の論拠のお粗末さを印象づけているようです。

「国民だけがデジタル丸裸にさせられる」「政府は情報を開示しないが、国民は情報を出せ」そんな状況です。

行政は、官僚は、政治家は、都合の悪いことは隠すことができ、税金の私的流用は許される土壌にある中で、誰が個人情報を提供するのでしょうか。隠蔽・改竄・故意紛失・私的流用などなど、どれも真摯に向き合ってなくす方向には向かってはいません。

デジタル化に反対しているのではなく、国が信用ができないだけ

個人の方が取られるのが嫌というレベルの、単純な対立構造のように報じられていますが、本質はそこではないのです。

デジタル化は必要、個人情報管理はある程度は仕方がないと思ってはいますが、情報を管理運営する側が信用できないのです。それは今までの態度や事実関係を見て、それに真摯に答えない姿勢が合わさって、国民の不信感は大きくなっているのだと言うことです。

わかっていながら、この構図は報じない…。それがマスコミのようです。

「自分の国を信用できるか」という観点から、海外と比較して説明しましょう。スウェーデンでは、政治家が税金でチョコレートを買っただけでも大問題になります。北欧諸国は消費税率は高いが社会保障は手厚く、病院には財布を持っていかないそうです。

北欧諸国の国民は、税を“納める”のではなく、将来の私たちのために使ってもらえるように国に“預けている”という感覚で、税金を捉えています。

一方、日本では、税金は“納める”のではなく“取られる”感覚である状況です。

日本とスウェーデンでは、国民と政府との関係性がまったく異なっています。そんな両国では、個人情報提供を伴うデジタル化について、同じように語ることはできません。

スウェーデンでは、「公益のために個人情報を提供する」という考えです。

日本では、「管理のために個人情報が取られる」「ときの政権にいいように悪用される」という考えであることが、根本的に違うのです。個人情報を管理運営する側に信用がないのが、日本なのです。

国民が受けたPCRコロナ検査のデータが警察庁に手渡されていたという報道もあるようです。

これは余談ですが、各省庁のデジタル化を推進するということですが、今もっともデジタル化が進んでいるは警察庁です。そのことは、デジタル化を考えるうえでは、よく理解しておいたほうが良いでしょう。

行政業務の効率化と、国民監視強化。なんだかなぁ~と思います。

Next: 平井大臣に「文春砲」炸裂も。デジタル化は前途多難



平井デジタル担当大臣にも「文春砲」炸裂

そして、平井デジタル担当大臣にも文春砲が炸裂しました。

平井氏が代表を務める政党支部が、自身の母親から相場より安い価格で事務所を借り、事実上の寄付を受けている疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。

出典:“9割引き”で事務所を賃貸 平井卓也デジタル相に「政治資金規正法違反」の疑い – 文春オンライン(2020年9月23日配信)

週刊文春はこう報じています。平井大臣に関しては、平井氏が政治資金を自身のファミリー企業に約8,100万円支出している問題もあるようです。

デジタル化は必要ですが、「仏作って魂入れず」ではないですが、もっと根本的な部分が抜け落ちている議論のように思えます。

政権側が真摯であることが必要なのではないでしょうか…。

福島双葉町「東日本大震災・原子力災害伝承館」オープン

東日本大震災や東京電力福島第一原発事故の教訓を伝える目的の福島県の「東日本大震災・原子力災害伝承館」が原発が立地する同県双葉町に開館しました。

167点の展示品の中には、事故直後の行政の対応拠点となり、住民の避難情報などが書き込まれたオフサイトセンター(同県大熊町)のホワイトボードなどもあります。総工費53億円で建設。事故の経過を振り返るシアターに続き、発生から復興までの取り組みを5コーナーで解説しています。

当初の7月の開館予定が、新型コロナウイルスの影響で2カ月遅れの9月20日にオープンとなりました。入館料は大人600円、小中高生300円。9月26日は、菅義偉総理大臣が訪問しています。

ここで情報共有…。伝承館では、直接被害のときのことを説明してくれる語り部に対し、「国と東電の批判をしてはいけない」とのお達しがあるそうです――

続きはご購読ください。初月無料です

【関連】「一流企業の男と結婚しろ」毒親の言葉が子どもを生き地獄に落とすワケ=鈴木傾城

【関連】PCR検査を受けるとリストラ対象に?コロナ差別が日本経済を死に追いやる=今市太郎


※本記事は、らぽーる・マガジン 2020年10月2日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>

※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込330円)。

2020年9月配信分
  • 情報共有 マスコミが報じない事実を…(9/28)
  • 問題提議:戸籍は必要か…(9/21)
  • 選挙絡みのマーケット(9/14)
  • 米株式市場下落の舞台裏~ソフトバンクと素人個人投資家(9/7)

2020年9月のバックナンバーを購入する

【関連】日本人は本当に生産性が低かった。私たちの年収が世界最速で下がるワケ=吉田繁治

【関連】「彼氏にしたい職業」上位はぜんぶ地雷、玉の輿に乗りたいなら○○な男を選べ=午堂登紀雄

【関連】中国の「超異常気象」は天罰か?災害集中は必然、超高齢化で亡国へ=勝又壽良

らぽーる・マガジン』(2020年10月2日号)より一部抜粋
※タイトル、本文見出しはMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

らぽーる・マガジン

[月額330円(税込) 毎週月曜日]
絶対に知るべき重要な情報なのに、テレビなどが取り上げないことで広く知らされていないニュースを掘り起こし、また、報道されてはいるけどその本質がきちんと伝わっていない情報も検証していきます。情報誌は二部構成、一部はマーケット情報、マーケットの裏側で何が動いているのかを検証。二部では、政治や時事問題、いま足元で何が起こっているのかを掘り下げていきます。“脱”情報弱者を求める人、今よりさらに情報リテラシーを高めたい人はぜひお読みください。CFP®資格の投資ジャーナリストが、毎週月曜日にお届けします。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。