FRBのパウエル議長は、コロナ禍での経済支援について「やり過ぎのリスクは小さい」と述べました。トランプ大統領もすぐに同意を表明。日本もこの考えで「やり過ぎ」の経済支援を行うべきです。(『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』児島康孝)
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経済支援「やり過ぎ」リスクは小さい
FRBのパウエル議長は、新型コロナウイルス問題でダメージを受けている経済への対応策について、経済支援の「やり過ぎリスクは小さい」(there’s a low risk of ‘overdoing it’ )と述べました。
CNBCなどが報じましたが、ホワイトハウスに戻ったトランプ大統領も、パウエル議長の見解に、「True!」とツイートし、さっそく同意を表明しました。
FRBのパウエル議長は、経済支援が少な過ぎることによるダメージの方が、「やり過ぎ」のリスクよりも、はるかに大きいという認識です。
「足りない」日本では問題噴出
一方、日本では、役人が中心となって、なるべく目先の支援(=支出)を減らそうとします。「経済支援=単なるコスト」という認識に見えます。
今回のコロナ対策でも、10万円がすぐ届かずに飢死しそうになった話や、最近でも、無理心中とみられる事案や、解雇による自暴自棄のような犯行などが続出しています。
目先の政府コストのために、日本の将来、経済回復を犠牲にしているわけです。
FRBのパウエル議長とはまったく逆の方向であり、日本の場合は、経済支援をなるべく少なくして、目先の政府支出を減らし、将来の国民・国家を犠牲にする方向になっています。
昔の日本には、梶山静六氏(1926年ー2000年)のように役人や財界人をびびりあがらせる政治家がいて、大局的な観点から、政策の修正が行われてきました。現在の日本には、そうした「豪腕」「腕力」が消えています。
もちろん、「豪腕」「腕力」は、いつも良い方向に作用するとは限りません。それでも、国民・国家の危機時には、当たり前の方向に引き戻してきたわけです。
かつて、日本のバブル崩壊時に、当時の全銀協の頭取が(これはご本人から直接聞いた話ですが)、梶山静六氏に呼び出されたとびびりあがっていました。頭取であれば、都銀の内部では、当然、最高権力者の立場。そんな人でもびびりあがります。このときは「貸し剥がし」などが社会問題化していたのです。
しかし、残念ながら、今回のコロナ禍では、アメリカのトランプ大統領のように矢継ぎ早の支援策を連発したり、欧州の手厚い給付のような支援策は、日本では行われていません。
パウエル議長が指摘しているパターンのうち、少な過ぎる援助・支援策によって、逆にダメージが拡大して、より一層、経済損失が拡大するという方向に日本は進んでいます。
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「やり過ぎ」リスクが小さいワケ
現在の経済状況を超長期サイクルで見ると、長く続いた冬の時代から、やっと春に移行するか、まぁ、三寒四温が始まるかな?というタイミングです。
そんな状況のなかで、「夏のように暑くなったら困る」という話をしても、そんなにすぐに猛暑になるワケないです、ということです。
経済が過熱し過ぎるには、雇用や売り上げが行き渡ることが条件になりますが、今はまったく行き渡っていません。
多くの国民に行き渡る過程を経過して、それから溢れ出すのですから。具体的には、「やり過ぎ」になるのは2030年代の半ばぐらいからでしょう。
まだ2020年で、しかも日本の場合はインフレ率がまったく2%にもならないのですから、心配すべきことは「少な過ぎること」であって、「多過ぎること」ではありません。
ですから、まだ、これから10年〜15年ぐらいは、経済支援の「やり過ぎ」リスクは小さいと言えます。パウエル議長の見解のとおりです。
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『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2020年10月7日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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日本に影響を与えてきた欧米勢の勢力図が変化し、国際情勢も激変の時期を迎えています。トランプ政権の前の欧米勢力は、日本の1990年のバブル崩壊以降、日本の衰退を狙ってきました。超長期の経済サイクルである、コンドラチェフ・サイクルが、戦後最悪の大底でもあったことから、日本経済はデフレに陥り、低迷したままであったのです。ところが、トランプ政権の誕生以降、欧米勢の勢力は変化し、日本の今後も、大きく変わろうとしています。このメルマガでは、有料読者に限定して、ちょっと書きにくい話にも踏み込んで、欧米勢の動きをお伝えします。