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業務スーパー絶好調、営利238億円の源泉とは?デフレ逆手の最先端業態=児島康孝

「業務スーパー」を展開する神戸物産<3038>の業績が好調です。なんと営業利益は238億円。それでも来期業績予想が控え目だったことで株価は下げました。これだけ高い利益率で、何かご不満でも?とつい思ってしまいます。(『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』児島康孝)

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営業利益は238億円

格安スーパーの「業務スーパー」を展開する、神戸物産(兵庫県稲美町)<3038>の業績が好調です。生活が厳しい日本国民のニーズに応え、低価格の食材を提供しています。

この「業務スーパー」は、中規模から小規模店舗の「雑然とした」販売スタイルで、他の業態で言えば、ドン・キホーテやヴィレッジバンガードのようなスタイルです。

いわゆる綺麗なスーパーを目指しているわけではなく、価格面や必要性を重視し、食品を販売しています。

イメージとしては、段ボールを開けてそのまま売っているような印象です(陳列されている部分もあります)。

この「業務スーパー」を展開する、神戸物産の2020年10月期の連結決算は、売上高3,408億円、営業利益238億円、当期純利益150億円という驚異的なものです(2019年11月初~2020年10月末の通期業績)。

アバウトで、3,400億円売って、営業利益240億円近くで、純利益150億円というわけですから、食品スーパーの従来のイメージを超越しています。

なぜ安売りでも利益が大きい?

低価格の中での、利益率の高さの秘密は、いわゆる「製造小売風」の商品の販売スタイルです。

様々な協力業者があって、そこの安い商品をたくさん売っているので、安くても利益が大きいわけです。

これは、かつてダイエーの故・中内功氏や、イトーヨーカドーの鈴木敏文氏(当時)が目指した、プライベートブランド(PB商品)の成功スタイルかもしれません。

Next: なぜダイエーやイトーヨカドーは失敗?時代が「業スー」を求めるワケ



ダイエーやイトーヨカドーは失敗した戦略

ダイエーやイトーヨーカドーがPB商品を投入し始めた頃は、まだ日本のデフレが危機的なほどではなく、テレビCMで目立っていた一般の食品メーカーの商品(ナショナルブランド)の方が人気がありました。

このため、安くて利益率の高いPB商品の試みは、あまりうまくいきませんでした。綺麗な大手スーパーには、似合わなかったのかもしれませんね。

ところが、日本のデフレが危機的となり、とにかく価格の安い食品で生活をしのごうという人が多くなってきたため、時代が「業務スーパー」に向いてきているのでしょう。

価格の安さが明確

「業務スーパー」が人気なのは、価格の安さが明確なためです。

10円安いとか、そんな感じではなく、明らかに安い価格なのです。蕎麦やうどんは、1玉20円前後で売っています。通常の食パンも、1斤100円を切っています。おにぎりは、1個50円台とか60円台とかそんな感じです。

こうした価格の明確さと、適度に店内が雑然としていて掘り出し物を探すような感覚もあることから、人気を集めています。

決算を受けて株価は下落

一方、株式市場では、ややご不満の投資家もいらっしゃるようです。

神戸物産<3038> 日足(SBI証券提供)

来期の2021年10月期の連結決算について、神戸物産側が売上高3,410億円(前期比+0%)営業利益248億円(同+4%)純利益160億円(同+6.3%)と控え目に予想していることから、成長が鈍化する!と大騒ぎする人もいるわけです。

しかし、これだけ高い利益率で、160億円の純利益で、何かご不満でも?と、つい思ってしまいます。

Next: 「業スー」は世界最先端? 欧米には存在しないビジネスモデル



「業スー」は世界最先端のビジネスモデル

アメリカやヨーロッパでも、「業務スーパー」のようなタイプの店は、見かけません。

アメリカの1ドルショップ(ダラーショップ、ダラーストア)は、やや雑然としていて、少し似た雰囲気と言えなくもないですが、食品中心の「業務スーパー」とは同じではないですね。

ということで「業務スーパー」は、実は、世界の最先端かもしれないという考え方もできますね。

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image by:retirementbonus / Shutterstock.com

ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2020年12月16日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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