【クリミア炎上】鳩山元首相の友愛思想を地球人目線で紐解いてみた

 
鳩山における「日本」の不在

さて、長々と鳩山の政治思想の紹介に努めてきたが、その検討へと移りたい。まず、鳩山を従来の社会党や共産党と同じような意味合いで「左翼」と呼ぶべきではなかろう。本人も共産主義への反対を表明しており、何よりも彼らが金科玉条の如くに繰り返していた「護憲」に対して極めて批判的な人物だからである。鳩山は『新憲法試案』(PHP研究所)を自らでまとめ上げ、現行の日本国憲法を大きく改める必要性を訴えている。彼を旧来の「左翼」と呼ぶことは、端的に誤謬である。

それでは、鳩山は日本の舵取りを任せるべき政治家と言えるのであろうか。

私は否といわざるをえない。

鳩山には日本の政治家として最も大切な部分が欠如していると痛感するからである。殆どの著作を通じて鳩山から日本への愛情を感じることができないのである。我が国の歴史と伝統の重みを体感するという政治家としての当然の心構えがないのだ。

例えば、菅直人との対談の中で鳩山は友愛について次のように語っている。

「それは、『地球市民』としての立場から『自立と共生の社会』というものを、世界に向けて発信することです」(『民益論』PHP研究所)

宇宙人・鳩山由紀夫

また別の雑誌では、自らのことを「地球人らしくなった」と語る対談者にこう語っている。

「それはこまりましたね…宇宙人という言葉はけっして悪い言葉だとは思っていなかったから(笑)。地球規模を越えた発想をもつ、少なくとも日本列島から離れて地球全体を見渡すためには、宇宙からの意識をもたなきゃいけないということです。しかし、民主党をいかに、より国民に認められる政党に脱皮させるかを考えると、地に足のついた伝統というものも重視しなければならないと思っています」(『VOICE』2000年3月号)

信じがたい発言と言わざるをえない。鳩山は宇宙的感性こそが肝心であり、日本の伝統とはあくまで選挙対策として取り組む必要があるといった程度の認識しか持ち合わせていないのだ。この発言が冗談ならば、余り面白くもない不気味な冗談程度の話ですむが、他でも宇宙人としての自己認識を語っている。

「私は『宇宙人』と呼ばれることがあります。どんな意味合いでそう呼ばれるかは別として、私は私なりの解釈でむしろ喜んでいます。…(略)…宇宙意識の中で、より先見性を持って行動したいと思っている人間が宇宙人だと考えると、この呼び名は大変光栄なことだと、自分で勝手に自らを勇気づけています」(『成長の限界に学ぶ─A・ペッチェイ 21世紀への行動指針』小学館)

別に宇宙人だと自己認識することが悪いことであるとは言わないが、日本の政治家としては不適切だと言わざるをえないだろう。各国がそれぞれの国益を追求して熾烈な争いを展開している中で、日本の国益を追求すべき総理が、日本人である前に宇宙人であることを誇っているのだ。これでは日本が国際競争に勝ち残っていけるはずがないではないか。

そういう国家に囚われた思考そのものが古いのだといわれるだろうが、宇宙意識に目覚めていない私としては、少なくとも自らの祖国日本が末永く続いてほしいと願っている。地球規模、宇宙規模で考えれば、確かに日本一国の消滅など大きな問題ではないのかもしれないが、日本人の私としては日本の永続と発展を何よりも望んでいる。多くの日本人も同じ気持ちであろう。宇宙意識に目覚めた人々から見れば、矮小な自己意識に執着しているように思われるかもしれないが、少なくとも政治家とは祖国の発展と永続を望む存在でなければならない。

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