【クリミア炎上】鳩山元首相の友愛思想を地球人目線で紐解いてみた

 
目指すのは「自立と共生」

それでは、具体的に鳩山は何をどのように改めろと主張しているのだろうか。まずは国内政治についてみてみよう。

戦後の自民党が作り上げたシステムとは、中央に権限と財源を集中させ、地方に分配するという中央集権体制に他ならなかった。いうまでもなくこうしたシステムを構築した代表的存在が田中角栄である。鳩山に従えば、こうした中央集権的なシステムは当初有効に機能していたが、現在では環境破壊、財政破綻、政治腐敗を生みだしているという。

これらの危機から脱するためには中央集権的なシステムから地域主権システムへの移行が不可欠だと鳩山は主張する。中央集権によって肥大化した政官業の癒着を断ち切り、政治主導のシステムを確立することが急務だという。

そして、地域主権国家樹立の暁には、当然従来のごとく国民は官に依存するだけでなく、積極的に政治に関与していくことになる。その際に重要なのが「補完性の原理」なのだという。

補完性の原理とは次のようなシステムを成立させる原理である。まず最初は最小限の個人から出発し、個人が出来ることは全て個人で行い(自立)、個人の手に余る問題を家庭で解決する。同様に家庭の手に余る問題は地域やNPOへ、地域の手に余る問題は地方行政へ、地方行政に手の余る問題は国家へ、そして国家の手に余る問題は国際機構へ…と個人の自立と共生が補い合って発展していくという過程の根底を為す原理を「補完性の原理」と呼ぶのだ。

外交、安全保障についての鳩山の見解も「自立と共生」の友愛思想を根底に置いている。

戦後日本外交の基本方針はいわゆる吉田ドクトリンであった。日本は国家の自立の問題を問うことを避け、憲法九条を盾に米国への追従に終始し、自国の防衛問題を真剣に問うことなく経済活動に従事してきた。

こうした日本は真の意味で自立していないと鳩山は指摘する。そして「日米同盟は基調としながらも、日本に米国の軍隊が未来永劫駐留し続けるのを当然のことと考えてはいけない。米国にもはっきりと主張しなければ、日本としての誇りを失い、独立国とみなされない」(「自民党倒幕に向け、死闘に挑む」『中央公論』2002年9月号)とまで言い切っている。

また、かつては「常時駐留なき安保」への転換を図るべきであるとも提言している」(「民主党 私の政権構想」『文藝春秋』1996年11月号)。

米国への追従を止め、日本が自立した暁に東アジア共同体の創造を目指すべきだという。鳩山の外交における「自立と共生」とは、具体的には日米安保体制の弱体化と東アジア共同体を模索する動きを指す。

国家の内外において「自立と共生」を基調とする「友愛」社会を建設することが鳩山の悲願であると考えてよいだろう。

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