【クリミア炎上】鳩山元首相の友愛思想を地球人目線で紐解いてみた

 
外国人参政権に見る宇宙意識

国家意識の欠如、主権意識の欠如、日本への愛着の欠如…。要するに日本の政治家として欠かせないはずの意識が鳩山からは全く欠如しているのだ。そうした欠如が露骨に表されたのが外国人参政権問題に関する鳩山の認識である。

外国人参政権は地方参政権のみならず、国政に関しても付与すべきであると表明した「わがリベラル・友愛革命」(『Ronza』1996年6月号)においても、鳩山は宇宙人的な感性を披露しているのである。

「『エンデバー号』で宇宙を飛んだ若田光一飛行士は…(略)…地図には国境があるが、実際の地球には国境が存在しないということを、どのように実感したであろうか。宇宙意識に目覚めつつあるこの時代に、国とは何なのか、私たちは何のために生きているのかを、いま一度考え直してみるべきではないか、政治の役割をいま見つめ直す必要があるのではないかと思う」

宇宙意識に目覚めつつある時代であるがゆえに、旧来の国境などにこだわるべきではないというのだ。人間であれば誰にでも参政権を与えてしまえという鳩山の宇宙的感覚が露わにされている。そこには国家意識が皆無である。

日本の政治家である鳩山は、宇宙意識に目覚める前に日本人としての国家意識に目覚めるべきではないのか。国籍の重み、主権国家の意義、祖国の来歴に思いを馳せるべきではないのか。

一人の学者としてこうした宇宙意識から政治に関心を持ち、様々な提案をするのは結構なことであろう。だが世界各国は「宇宙意識」を持ち合わせず各々熾烈な生存競争を繰り広げている。日本のみが宇宙意識に目覚め、「地球市民」として振る舞ったところで、それは日本の自滅を意味するだけで、地球も日本国家も救えない。

鳩山は個人としてはいい人なのであろう。学者としても決して資質に欠けた人物だとは思わない。「バカ」でも「愚か」でもない。しかし、政治家にだけはなってはならない人物である。

(2010年6月執筆)

 

岩田温の『政治哲学講義』第2号より一部抜粋
著者/岩田温
政治学者。様々な政治問題、歴史問題に関して幅広く問題提起を行う。NHKの特番では半藤一利、鳥越俊太郎らと激しい論争を行った。そんな岩田さん、メルマガでも様々な問題を取り上げ鋭い論を展開中!
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