中国投資銀、オバマの弱腰が招いたパクスアメリカーナの終わり

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つまり、中国をどう扱ったらいいのか思い惑っているのだが、裏返せば、米国は実は、自分自身をどう扱ったらいいか分からなくなっているということでもある。20世紀後半の「アメリカの世紀」は終わりつつあり、それと共に数世紀に渡って続いてきた覇権システムそのものが終わって、世界は多極システムに向かいつつあるというのに、米国内には今後もまだ覇権システムの時代は続くかの前提に立って、米国の覇権を維持し中国やロシアの覇権を阻止しようとする時代錯誤の冷戦型の発想が根深く残っていて、それが「オバマの弱腰」批判という形で米国が多極世界へと適合しようとする努力を攪乱している。

多極世界では、安全保障にせよ経済にせよ、分野別・地域別に関係する当事国を網羅して共同で新しいルールやシステムを作り上げていくことが必要で、東アジアやユーラシアに関してはよろず中国を巧く巻き込むことなしにはどんなルールやシステムも成立しない。そのことが頭で分かっていても体が動かないというのが、ニューズウィークが言う「アメリカの手痛い失敗」の意味である。

 

『高野孟のTHE JOURNAL』Vol.177より一部抜粋

【Vol.177の目次】
1.《INSIDER No.776》
一体何なのか、鳩山クリミア訪問を巡る狂騒
──異論を許さない嫌~な国柄へ

2.《FLASH No.090》
「農協潰し」は安倍政権の政治的怨念
──日刊ゲンダイ2月26日付から転載

3.《CONFAB No.175》
閑中忙話(2015年03月08日~14日)

4.《SHASIN No.153》付属写真館

 

『高野孟のTHE JOURNAL』

著者/高野孟(ジャーナリスト)
早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。
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