日本のジャーナリズム界に危機。読売新聞の幹部が漏らした弱音とは?

 

読売新聞を含めて、勝股氏らに続いて防衛大学校の研究科に学んだ新聞記者がいないわけではありませんが、どの新聞社を見ても、一定の水準に達していると思われる記者皆無といってよいほどです。せいぜいが、流れてくる情報を大きな誤りなく記事にするのがせいぜいで、防衛省・自衛隊に突っ込んだ質問を浴びせたり、国際的な軍事情報を検証することなどを考えると、ほど遠い状態にあるのです。

大げさかもしれませんが、この日本のジャーナリズムの危機を克服するには、一体どうしたらよいものでしょうか。

いちばん手っ取り早いのは、軍事問題研究会常設することではないかと思います。防衛省の担当でも、遊軍や編集委員、論説委員でも構いません。そこで学んだ記者が、軍事記者として独り立ちできる環境を整えるのです。

例えば、朝日新聞が社内に設けているジャーナリスト学校でもよいでしょう。あるいは、新聞と放送各社の「有志連合」が、会社として経費面などを支え、研究会を継続していく形でもよいかも知れません。そういう取り組みをすれば、もともとが優秀な人材ばかりですから、1年もしないうちに見違えるほどの識見を備えるのは間違いありません。

そこから、民主主義を健全に機能させるためのジャーナリズムの能力が備わり、磨かれていくのではないでしょうか。

各社の上層部にお願いしたいのは、軍事問題に関心を持つ記者をオタク扱いし、ラインから遠ざけるような人事は改めてほしいということです。そうしなければ、バランス感覚を備えた優秀な人材が軍事を担当することは実現せず、悪循環を断ち切ることはできないと思います。どうか、ご一考を。

image by: Shutterstock

 

『NEWSを疑え!』第434号より一部抜粋

著者/小川和久(軍事アナリスト)
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。
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