横浜「傾きマンション」は二度起きていた!ついに開いたパンドラの箱

 

連日ニュースで解説されているので、みなさん、普段あまり興味がない杭のことに詳しくなったと思います。

マンションのような重い建物を建てるときは、地面の下の強固な地盤(支持層)まで杭をしっかり打ち込んで、その杭で、建物を支える訳です。その杭が支持層に達していなければ、建物の重みでその部分が地盤沈下して、建物が傾いてしまうということは、誰にでも理解できることです。

でも、まさか、そんな重要なところで、意図的に不良工事が行われるなんて、通常は考えません。それがどれほど大問題かを一番分かっている施工担当者がそんなことをするなんて…。

で、地面の下のことは、本当に正しい施工がされているか、検査機関だって調べられません(と、検査機関の人たちが言っています)。ましてデータを偽造されたら、それはどうにもならないことです。傾くという動かしがたい事実が現れるまでは。

過去の記事にも書きましたように、私は、杭自慢のマンションに住んでいます(笑)。一応、この業界にいますので、自分の目で確かめようがなく、後からどうしようもない地面の下のことだけはしっかりしてもらいたいという思いがあるからです。

で、目に見えない部分は本当は一番重要で、コストも工期もかけるべきなのに、杭が立派なことは市場で評価されないという不思議を味わっています(笑)。

● 参照:Vol.205「マンションの価値ってベネフィットにしないと伝わらない

しかし、東日本大震災でも、マンションが傾いて倒壊の危険があり、いち早く取り壊したマンションは、前々から杭に問題があったマンションです。建物の耐震補強をどんなにしても、杭がしっかり入っていなかったら、どうしようもないのです。

これから、杭について今までよりは注目が集まっていくと思いますが…実は、それをとても恐れている業界の空気も感じます。

まだ問題が表面化していない中にも、杭の施工に問題がある物件がひょっとしたら相当数あるのではないかというパンドラの箱です。

杭打ちの施工に関しては、ちょっと関係者と話をしただけで、怖い話をいくつも耳にします。現場で工事に関わっていた人は、よくわかっている訳ですから。

今回の事例も、2棟を連結していたから、異変に早く気づいたのであって、もし、1棟だけで建っていたら、2センチぐらいだと気がつかなかった可能性も大きいのでは? と思います。

そういうマンションが他にもあるのではないか…とどうしても思ってしまいます。

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