「クリミア併合」、ロシア国民の反応
さて、2014年3月、ロシアは「クリミア」を「サクッ」と併合してしまいました。日本人には、「驚天動地」の大事件です。で、私が本当に心の底から驚いたのは、「ほぼ全ロシア国民がクリミア併合に賛成した」ことです。昨日まで「反プーチン」だった知人、友人も、朝目覚めたら「プーチンえらい!」といっている(プーチン人気、2つ目の理由は、「クリミア併合」です)。
あらゆる友人、知人に質問したら、ほぼ全員が「大賛成!」と答える。
「なんなんだこの一体感は~~~~~!!??」
私は、本当に驚きました。
かなり前ですが、ある年配の友人が、戦争中のことを話してくれました。
「日本は、戦争したくなかったけど嫌々戦争になったという人がいる。だけど、私は生きてこの目で見てたんだから、はっきりわかる。国民は戦争を望んでいたんだよ。国際連盟を脱退した時だって、みんなそれを大歓迎したんだ」
私は、この言葉の意味が長いことわからなかった。しかし、ロシア国民が一夜にして、「クリミア併合大賛成!」になるのを見て、「ああ、日本も昔はこんな感じだったのかな~~~」と思ったのです。
ちなみに、「クリミア併合」に反対したモスクワ国際関係大学の教授は首になりました。
さらに、「クリミア併合」に反対のミュージシャンたち、「マシーナ・ヴレメニ」「DDT」「グレベンシコフ」などが、「裏切り者」のレッテルを貼られました。
国営放送RTRのニュースで、「こいつらはクリミア併合に反対する裏切り者だ!」と名指しでさらし者にされたのです。しかも、繰り返し、繰り返し。上のミュージシャン、RPE読者さんでも、90%以上は知らないと思います。日本でいったら、長淵剛さん級の人たちです。
「反対する人は、許さない!」。こんなのも、「戦前の日本にもあったのだろうな」と思いました。だから、私は日本に一時帰国した際、メディアが安倍総理の悪口ばかりいっているのを聞き、「ああ、健全だ」と思ったのです。しかし、リアルインサイトの鳥内先生から、「健全ていうか、中韓に操られているだけですよ!」といわれ、「ああ、まさにその通りだ」と反省しました。
ところで、なぜロシア国民は「クリミア併合」を支持しているのでしょうか?
まず、クリミアは、1783年から1954年まで「ロシア領」だった。1954年、スターリンの後を継いでソ連書記長になったフルシチョフ(ウクライナ人)が、突然「クリミアは、今日からロシアではなくウクライナの管轄にします!」と宣言した。
理由は、「権力基盤が弱かったフルシチョフが、ウクライナの支配層を味方につけるためだった」と言われています。
まあ、いずれにしても、書記長の「鶴の一声」で、クリミアはロシアからウクライナに移ってしまった。ロシア人は、この処置をずっと「不当だ!」「違法だ!」と憤っていた。
しかし、当時は、ロシアもウクライナも同じソ連の一部。「東京管轄だったのが埼玉管轄になった」感じで、大きな問題にはなりませんでした。しかし、ソ連が崩壊すると、クリミアは独立国家ウクライナのものになってしまった。
ロシア人は、このことにずっと不満を抱いていたのです。それをプーチンが、サクッと取り返してくれた。これで、彼は、「歴史的英雄」になりました。日本でいえば、「北方領土を1日で、無血で取り返した」ような感じ。プーチンの支持率は、86%まで急上昇しました。