3月竣工が危ない。マンションの「突貫工事」はこうやって起きる

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横浜傾きマンション問題で注目されるようになった「建設工期」。『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者・廣田信子さんはかつて関わったトラブル続きの物件の具体例を出しつつ、工期が短いマンションは買うなと警告しています。

工期が短いマンションは買うな!

こんにちは! 廣田信子です。

傾きマンション問題で、厳しい「工期」が、データ偽装や不良工事の背景にあると「工期」の問題がようやく俎上に。ほんとうにその通りで、やっとという思いです。

土地を仕入れた時から、借り入れた資金に金利が発生しますので、ディベロッパーはできるだけ早くマンションを引き渡して、代金を回収して金利を圧縮しようとします。ですから、ほんとうに工期がぎりぎりなんです。

杭工事も、できるだけ工期が短い工法が採用されますし、余裕のない日程で工事が組まれます。

そして、その予定でマンションを売ってしまうので、ちょっとしたアクシデントも許されないのです。もし、契約通りに引き渡すことができず、契約解除違約金の支払いとなったらたいへんなことになります。

余裕がない工期は建物の品質に大きく係わるということに、ディベロッパーはあまりにも無関心です。できるだけ早く造って引き渡して資金を回収するのが重要という経済論理の元、マンションの品質は軽視され続けてきたと思います。

そして、マンションを購入する側も「工期」に無関心です。買う人の要望で、ただでさえ厳しい工期をさらに縮めるという無謀な突貫工事で造られたマンションすらあるのです。

私が以前、新築から管理を担当したあるマンション。施主検(ディベロッパーによる竣工検査)に立ち会ってびっくり。まったくできていないのです。こんな状況で、どうやって竣工検査ができるんだ~という状況です。買った人たちの内覧会の日程が迫っているので、とにかく手続きとしてやってしまおうという感じです。

で、どう考えても工事が遅れている状況なのに、施主が現場監督に対して厳しい言葉を言うこともなく、形式だけの竣工検査をしている様子に強い違和感を覚えましたが…、その理由は、鍵や書類の引き渡しの時に判明しました。

施主であるディベロッパー、ゼネコン、管理開始時の管理者である管理会社が立ち会い、共用部分の鍵、竣工図書を始めとする引き渡し書類を確認して受け取る場面です。

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