ディベロッパーの担当者が現場監督に深々と頭を下げ、「今回は、1ヶ月半も工期を縮めるというこちらの難題を聞いて頂いてありがとうございました。お陰で完売することができました」…と。
そうなんです。
工事が始まってから、何とか4月の学校の新学期に間に合うように引き渡してほしいという購入者の要望を聞いて、途中から工期を1ヶ月半縮める突貫工事に切り替え、3月末に引き渡しに間に合わせたというのです。
私は、正確には、この物件に興味を示した人に、「新学期に間に合うように引っ越せるなら検討するけど、完成時期が5月というのでは難しいね」という反応が多かったので、売るために工期短縮をゼネコンに頼み込んだというのが真相ではなかったのかと思っています。
突貫工事がどんな結果をこのマンションにもたらしたかは言わずもがな…です。
管理開始日になって引っ越しが始まっても、共用部分はまだ完全に工事中です。どうやって役所の竣工検査済証とったんだ?? いったん仮仕上げして、やり直しているの?? 状態です。
突貫なので専有部分も問題が多く内覧会での指摘事項も半端じゃありません。図面と間取りが違っていて、壊して造り直しなんていう部屋もありました。
価格と間取りが手頃なのか、幼稚園や小学校低学年のお子さんがすごく多くて、引っ越し直後に、入園式、入学式にお母さんと出かける子供たちの姿を見ると、工期を縮めても、この日に間に合って引っ越せたことは、意味があったのかと複雑な思いでした。
で、そのうち、当然、もっと本質的な問題が発生します。
その中でも、ほんとうに悩ましかったのは最上階での広範囲にわたる漏水です。直しても直しても止まりません。ちゃんとコンクリートの養生期間をとらずに型枠外したんじゃないかと疑ってしまいます。
他にもいろいろあったな~。
2年間は、不具合箇所の補修状況の確認が理事会の仕事の大部分でした。さすがに住民の皆さんも不安で、総会や説明会にはほぼ全戸が出席し、出る質問は、不具合箇所の修理に関するものばかりでした。全戸に共通する大問題だったので、誰も無関心ではいられませんでした。
で、私のできることとしては、とにかく情報を理事会に集めようということで、専有部分も含め、不具合箇所の情報を集め、理事会で進捗状況の確認をしていきました。ですから、常に理事会には、困った状況を抱えている居住者がオブザーバーで参加して、状況説明をしている感じでした。