3月竣工が危ない。マンションの「突貫工事」はこうやって起きる

 

結局、2年点検までに洗い出した不具合箇所が解消されるのには、さらに1年かかったと思います。屋上防水も結局やり直したと記憶しています。

その間、私もゼネコンやアフターサービスの窓口と何度、やりやったことか…。

何とか表に出ている不具合については3年でやり切ったと思いますが、工事を急いだことによってコンクリートの強度等に問題がないのだろうかと今でも気になっています。そんな不安を与えること、住民には言えませんが…。

ただ、怪我の功名ではありませんがあまりに問題が多かったために、居住者間のコミュニケーションはものすごく進み、とてもいいコミュニティが生まれていました。子供文庫も開かれ、とても子育てしやすいマンションと住んでいる方にも評判で、建物の不具合の苦労は何とか帳消しにしてもらえていたかな…。

でもね~。マンションの寿命を思ったら1ヶ月半ほんの一瞬です。1ヶ月半工期を短くしたことによってコンクリートの品質に影響があったとしたら…、そんなことはないと思いますが、もし杭工事に手抜きが生じていたとしたら…、と思うと何だか悲しいですね。

まず、マンションがかわいそう。もっと大切に造ってあげたかった…。もちろん、そんな事情をわかっていない区分所有者もかわいそう。大地震等で問題が起こらないといいのですが…。

そして、こんな工事をさせられたゼネコンもかわいそう…。やりたくなんてなかったはずです。

じゃあ、ディベロッパーがすべて悪い?

私はそうも思い切れません。買う側のニーズと売る側の姿勢はどこかで連動しているからです。どんなにいいマンション造っても価格と時期が合わなければ売れない…売る側の言葉です。

結局、お金と時間に縛らているという現実は、今を生きる私たちに共通の問題かもしれない…そう思えるからです。

ミヒャエル・エンデの「モモ」が頭をよぎりました。

そうは言っても、自己防衛のためには、工期が短か過ぎるマンション、複雑なつくりなのに工期が通常通りというマンションは買わない方が賢明だと思います。

image by: Shutterstock

 

まんしょんオタクのマンションこぼれ話
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