『下町ロケット』でもいた「現実的に」が口癖の社員は仕事ができない

 

例えば、社長が「今は入口に5段の短い階段があるが、車椅子やベビーカーのお客様がお困りなので、スロープを建設しようと思う」と会議で発言したとします。

その時に、「いやいや、それは正論ですが、現実問題として、うちにその費用が出せるほどの余裕はないでしょう」

「いやいや、それは正論ですが、現実問題として、店の前のあの狭いスペースにスロープつけるのは複雑になって無理でしょう」

などと反論する人が出てきます。

この人たちは「理想と現実」の話をしていて、「スロープをつけるのは理想。でも、現実的に考えて無理」と考えるので、当然「理想は無理」「だから現実」と、現実、つまり現状維持を考えます。

でも、ここで社長が言っている「正論」は、「スロープをつける」ことではないのです。

「車椅子やベビーカーのお客様がお困りなので、困らないようにしてあげるべきだ」というのが「正論」であって、スロープはその正論に沿った結論の一つでしかありません。

「正論」はきちんと考えるべきことであって、「理想」とは違います。

だから、現実問題がどうという話ではなく、「正論に沿う」形で議論をしなければなりません。

資金の余裕がないという「現実」からその「正論」をいかに解決するか、スペースの余裕がないという「現実」からその「正論」をいかに解決するか、なのです。

つまり「正論を取るか、現実を取るか」という話ではないんですね。

それが、仕事というものです。

現状維持を選ぶのは小学生でも小動物でもできますから、そんな意見は仕事をしたことにはならないのです。

スロープの建設はできないということになっても、「正論に沿う」ことを考えると、スロープ以外のアイデアが必要になるわけです。

スロープはないが、車椅子やベビーカーを見つけたらスタッフは必ず2人以上で駆けつけるとか、特別に搬入口からの案内をするとか、ネットショップやカタログ販売を強化するとか、その「正論」に沿った選択肢は、無数にあります。

「正論」と思うものが出れば、それが答えです。

その答えを実現するためにどうするか、というのが社会人の仕事であって、「それは正しい答えだが、回答はしたくない」みたいな姿勢は、仕事をしているうちには入りません。

「社長はいつも、夢みたいなことばかり言う。言ってることはわかるんだけどさ」などと思った時は、その「夢みたいなこと」の中に正解があります。

「夢みたいなこと」「理想ばかり」などと切り捨てず、その中に見つけた「正論」を取り出し、その「正論」の実現を考えるべきなのです。

まあきっと、今日の内容も「それは正論ですが……」と反論来るんだろうなー。

 

【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)

自分の業界における「正論」とは何か。現実的に実行されていない、実現されていないことでもいいので、自分なりにノートにまとめる。

image by: Shutterstock

 

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