「もしもし、今日は休んで有給にします…」これ、法的に認められる?

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早朝に突然、社員から連絡がありました。「今日は有給を使って休みます」。さて、この有給申請は認められるのでしょうか? メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』の中で、当日の有給申請について扱いはどうなるのか、紹介されています。

当日の有給申請は認められるのか

飲み会の主催者をしていると困ることがあります。それは、参加者の急なキャンセルです。

お店を予約していると、その分の料理代がかかってしまう場合もありますし、男女の人数を揃える必要がある飲み会ですと新たに別のメンバーを誘わなくてはなりません。

これは本当に大変です。もしかしたら、みなさんの中にも、同じような経験をした人がいるのではないでしょうか。

これは会社における社員の有給休暇の取得にも同じことが言えます。急に有給で休まれて、業務に支障がでてしまったら会社は大変です。

ただ、社員には、有給を取る権利があります。そして、会社には、有給を取らせる義務があります。そのため、社員はその理由にかかわらず、自由に有給を取ることができます。会社はそれを拒むことはできません

では、例えば当日の朝に、社員が急に有給申請を出してきたらそれを認めないといけないのか? これに対するある裁判があります。

ある電話会社で、社員が当日の朝に電話で有給申請をしてきました。急な申請でその上司は困り、理由を尋ねましたが、その社員は答えずにそのまま有給を取りました。そこで会社はその有給を認めず、その日分の給料を支払わなかったためその社員が裁判を起こしました。

では、その結果はどうなったか?

会社が勝ちました

そのポイントは「申請のタイミング」です。その会社では、年休の請求は「原則として前々日の勤務終了時まで」と就業規則で規定がしてあり、それが合理的と認められたのです。

繰り返しになりますが、有給を取るのはどんな理由でも、いつ取っても、それは社員の自由です。そして、会社はそれを拒むことはできません。

ただし、会社にはその時期を変えることができる「時期変更権」という権利があります(「事業の正常な正常な運営を妨げる場合には、他の時季に変更できる」という権利です)。

当日の急な申請では、この権利を行使するかどうかの判断をする時間もありません。そこが、申請日を前々日とした就業規則が認められた理由です。このように有給は「事前申請」が原則なのです。

ただし、そこで注意点があります。みなさんの会社では、当日もしくは後日でも病気やケガなどの理由であれば、事後の申請も認めていることが多いのではないでしょうか。

その場合は就業規則に「●●の場合は、事情を勘案して事後の申請を認める場合がある」などと明記するようにしましょう。

最近は、ネットで知識を得た社員が有給の権利を異常に主張するケースも多くみられます。トラブル防止のためにも、しっかりとルールづくりをしておきたいですね。

image by: Shutterstock

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企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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