中国の甘い誘惑「日本と和解することで、日米分断をはかる」

 

対中国で日本は、アメリカの「オウム」になれ

情けない話ですが…。

・アメリカとの関係を損なわず(=中国に接近しすぎず)
・アメリカに利用されて中国と単独で戦うハメになるのを避ける

方法がこれです。

日本は対中国において、「アメリカに同調することに徹する」。アメリカが、「中国は南シナ海埋め立てをやめろ!」と批判する。すると日本も、「そうだそうだ!」という。アメリカが、「サイバー攻撃をやめろ!」と批判する。すると日本も、「そうだそうだ!」という。

なぜ、そうなのでしょうか?

「バックパッシング」という話をすでにしました。日米中の関係でいえば、「アメリカが中国に勝つために、自分で戦わず、『日本に戦わせること」、これが「バックパッシング」です。

もう1つ「バランシング」(直接均衡)というのがあります。これは、日米中関係でいえば、「中国に勝つために、アメリカが直接先頭にたち、(たとえば)中国包囲網を形成する」。つまり、「他国をぶつける」のではなく、「自国が責任をもって中国と戦う」のです。

日本の国益は、「アメリカが対中バランシングを行うようにもっていくこと」です。これは、日本が「アメリカのカプセル怪獣として中国と戦争する」ことを回避する道です。

だから対中国については、「いつもアメリカがその中心にいる」状態を維持しなければならない。それで、「アメリカが中国を批判したら、それに追随する」のです。

日本が、「反中の急先鋒」になると、「梯子を外される」可能性が出てきます。グルジアやウクライナは、そそのかされて反ロシアの「先陣」になってしまったので、ひどい目にあったのです。

中国に接近しすぎてもダメ、批判しすぎてもダメ。

アメリカとの関係を緊密にしなければダメ。

しかし、アメリカを喜ばせるために中国バッシングしすぎてもダメ。

ということで、なんだか複雑に感じますが。

しかし、私たちの実生活を見れば、そんなに難しくはありません。私たちは皆、複雑な人間関係の中で、「バランスをとりながら」生活しています。国際関係もそういうことなのです。誰ともなるべくケンカせずに、目的を達成していく。目的とは、いうまでもなく、「日本の自立」です。

image by: Drop of Light / Shutterstock.com

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
日本のエリートがこっそり読んでいる秘伝の無料メルマガ。驚愕の予測的中率に、問合わせが殺到中。わけのわからない世界情勢を、世界一わかりやすく解説しています。
<<登録はこちら>>

print
いま読まれてます

  • 中国の甘い誘惑「日本と和解することで、日米分断をはかる」
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け