中国の甘い誘惑「日本と和解することで、日米分断をはかる」

 

日本が注意すべきこと2~中国を過度にバッシングするな!

アメリカは、「目的のためには手段を選ばない国」です。既述のように、日独に勝つためには、宿敵ソ連と組む。日独に勝ったら、今度は両国と組んでソ連をつぶす。

日本のリベラルがよくいう、「梯子を外す」こともよくあります。たとえば08年8月、旧ソ連のグルジア(ジョージア)は、ロシアと戦争し、結果、アプハジアと南オセチアを失いました。この時グルジアの大統領だったサアカシビリは、「親米傀儡」だった。グルジアは、この戦争の後、「アメリカから捨てられた」ような状態になっています。

14年2月、アメリカは、ウクライナの革命を支援しました。

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親ロシア・ヤヌコビッチ政権が倒れ、親欧米傀儡政権ができた。3月、ロシアはクリミアを併合。ウクライナは、新政府軍と東部親ロシア派の「内戦状態」になりました。しかし、実際は、欧米とロシアの「代理戦争」だった。ウクライナの親米傀儡ポロシェンコ大統領は、国際社会で激しくロシアを非難しつづけた。アメリカ、特にバイデン副大統領はしばしばウクライナを訪れ、ポロシェンコを煽っていました。

しかし、アメリカは2014年8月、ISへの空爆を開始。2015年3月にAIIB事件で、中国が最大の問題になった。それで、ウクライナ問題は忘れられてしまった。「ウクライナは梯子を外された」といってもよいと思います。

最後にもう一例。

シェール革命で、アメリカ既に世界一の産油国産ガス国に浮上しています。結果、中東への関心が著しく薄れた。それで、アメリカは、サウジアラビアやイスラエルに、とても冷淡になっています。今回のサウジとイランの対立。既述のように、「アメリカは仲介するつもりはない!」と断言している。

以上3つの例からわかることはなんでしょうか?

「アメリカは、他国を遠慮なく利用し、利用価値がなくなるとあっさり捨てる」ということ。特にどういう風に使うかというと、「敵と戦うために、『他国として使う」。

これを「バックパッシング」といいます。たとえばアメリカは、ロシアを叩くために、自分は戦わず、グルジアやウクライナに戦わせた。言葉は悪いですが、グルジアやウクライナは、ウルトラセブン(=アメリカ)の「カブセル怪獣」のような立場。

ただ、ウルトラセブンは、「カプセル怪獣」を愛していますが、アメリカは、グルジアやウクライナを「使い捨て」し「愛がない」ところが違います。

アメリカは、日本の軍事同盟国です。「日本には沖縄の領有権がない!」と宣言している中国が、尖閣・沖縄への侵攻を躊躇している唯一のファクターはアメリカです。

だから、アメリカとの関係は、「最重要」。しかし、あまりアメリカを信用しすぎて、ロシアと戦争させられるハメになったグルジアやウクライナの二の舞になることは、絶対に避けなければなりません

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