「こんにちは」と「お母さん」は同じ語源だった。意外な日本語のルーツ

 

「おかあさん」は「太陽さん」

おかあさん」の語源も太陽だったと境野氏は説く。「おかあさん」は、古くは「カカさま」と言ったり、庶民は「おッカァ」と呼んだ。また一家の主人は「うちのカミさん」とか「うちのカカア」と呼んだ。

「力」は古い言葉では「力力」といいました。もっと古い言葉では「力ア力ア」といった。さらに古い言葉では「カッ力ッ」といったんです。「力力」「力ア力ア」「カッ力ッ」。これが「力」となるんですね。

「ミ」というのは、わたくしたちの身体という意味です。・・・

「カッ力ッ」というのは、太陽が燃えている様を表す擬態語でした。・・・「力ア力ア」「力力」という音も同様です。つまり、わたくしたちの体、わたくしたちの命は太陽の命の身体であるということを、「日・身(力ミ)」(太陽の身体)と言つたんです。[2,p104]

特に母親は明るく温かく子どもを産み育て、一家の世話をしてくれる事から、太陽そのものだ、ということで「お日身(カミ)さん」と呼ばれるようになった。それが「カカさま」や「おっカア」や「おかあさん」になった。日本の子どもは母親を「太陽さま」と呼んで敬っていたのである。

ちなみに父親は「トト様」で、「(太陽のように)尊い人」という意味である。ただ「カカ(太陽)様」「お日身(カミ)さん」の存在感に比べると、やや抽象的で陰が薄い。天照大御神女性神であったように、日本の古代の家庭女性中心だったのである。

「昇る太陽の出てくるところの国」

かほどに太陽を崇拝してきた我が国に、「日本」という国名はいかにもふさわしい。そう命名されたのは、689年に公布された飛鳥浄御原令(あすかきよみはらりょう)とされており、その意味について自由社版の中学歴史教科書は次のように記している。

「日本」は、「日」と「本」という2つの言葉(文字)から成り立っています。

「日」は、太陽のこと。太陽は地球上のあらゆるものに光と熱を与え、命をはぐくみます。古代の日本人は、太陽の恵みを自覚していました。・・・
「本」は、「・・・の元」ということです。ですから、「日本」という国名は、607年の遣唐使の国書に「日出づる処」と書かれていたように、「昇る太陽の出てくるところの国」という意味になります。[b,4,p60]

「607年の遣唐使の国書」とは、聖徳太子随の皇帝にあてたもので「日出(ひい)づる処(ところ)の天子、書を日没(ぼっ)する処の天子に致(いた)す。恙無(つつがな)きや」というものだった。当時の超大国・隋に対して対等に、しかも天日を共にしている間柄という親しみを込めて、外交を申し入れたものであった。

ちなみに、英語名の”Japan“は、「日本」を中国人が「ジッポン」と呼んでいたのを西洋人が耳で聞き取った所からきている。日本という国名について、境野氏はこう語る。

太陽の運行と人間の生命を結びつけて、太陽を崇拝した国は、日本のほかにもたくさんあります。ただし、太陽が人間の生命の根元のエネルギーであることを、「日の本」、つまり「日本」という国名にまでしたのは、わたくしたちの国だったということは、日本人としてどうかお忘れになりませんように・・・。[2,p44]

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