毎年恒例「映画野郎」2015年ベストテン特集。1位の作品はコレだ!

 

KANTO:「野火」も観たかったですね。

小川:まあ、昨年の邦画は不作と言っていいでしょう。唯一、「映画野郎」に近いのは橋口監督の「恋人たち」ぐらいで、次が塚本晋也監督の「野火」ですからね。年末に公開した山田洋次監督の「母と暮せば」はシニア向けでしたしね。

KANTO:山田洋次監督って、若者に期待されているんですか? 逆に知りたいですけど。

小川:いや、若者云々じゃなくて、世代を問わない邦画ファンですね。勝手ながら、日本映画界の現代のマエストロは山田洋次監督だと個人的に崇拝してます。ま、本当は崇拝とか言っちゃいかんでしょうけどね。

原口:日本のマーケットって、女性向けやファミリー向けの作品がヒットするし、幅を利かせているから、今後もこの傾向は続くでしょうね。そんな中でも、期待の園子温監督は去年4作も監督したし、三池監督もヤクザ+ヴァンパイア映画を撮ったんですけどね…。

小川:ここ4、5年「映画野郎」のベストテンに絡むことがある園子温は4作とも…厳密には「ラブ&ピース」と「リアル鬼ごっこ」がとことんダメな映画でしたしね。三池監督も、他の年に比べればおとなしかった。あと、「進撃の巨人」は……邦画の特撮の限界を痛感しましたね。

KANTO園子温監督は、多作ゆえに全てが雑だっとしか言いようがない。もっと、1本をじっくり撮らないと、良い映画なんてできるわけありませんから。昨年の映画はどれも観たくないですね。

原口:あと2015年の興行収入1位で、評判も良かった「ジュラシック・ワールド」も「映画野郎ベストテン」では票が伸びませんでしたね。

小川:「ジュラシック・ワールド」は観たけど、まあ、ぶっちゃけ思い入れがあるシリーズ(「ジュラシック・パーク」シリーズ)じゃなかったしね。

KANTOアトラクションとしては良かったですが、これもシリーズの中でオマージュやっていて、作品評価は必然的に低くなりますね。

原口:この流れで、15年は4DX(MX4D)で鑑賞する、アトラクション的な映画鑑賞の面白さが広がった年だったかと思うけど、アトラクション性の高い映画をこういうアンケートに入れるかどうか、物語性や俳優の演技で見せる作品と同じ土俵で評価するのか、それぞれの見識も興味深いかと。

小川:昨年、「映画野郎」の企画としてMX4Dで何本か観たんですけど、どれもライド感とかアトラクション的な楽しさはあっても、正直後には残らない。これ、3D映画でも薄々気がついてましたけどね。だからこそ、年末間近に観た脚本がずば抜けていたピーター・ボグダノヴィッチの「マイ・ファニー・レディ」とかに惹かれましたね。

KANTO:アトラクションとしてのエンタメ映画と、映画らしい映画とは食い合わせが悪いみたいですね。今回、「スター・ウォーズ」で確信しました。だからこそ、今年は「ヘイトフル・エイト」に期待しているわけです。映画らしい映画とはどういうことかを教えてくれそうな予感がします。

原口:この内容の二極化傾向が進んだらそのうち「アトラクション映画」と「2Dオンリー映画」のランキングを分けなくてはいけなくなるかもしれませんね。

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