子供から誇りを奪い続けた「毒親」。その呪縛から楽になるには?

2016.01.26
by Mocosuku
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「もっと頑張れば自信が持てるかも…。」「もっと一生懸命やればほめてもらえるかも…。」そう信じて、毎日、疲れ果ててボロボロになるまで自分を追い込んで生きてきた…。なのに、未だに自信が持てない、誰にも褒められない…。心当たりのあるあなたは、もしかしたら毒親育ちなのかもしれません。

毒親育ちで苦しんでいる人たちはどうすれば楽になれるのでしょうか。毒親に悩まされてきた人たちのカウンセリングに20年取り組んできた臨床心理士で神奈川大学教授の杉山崇先生にお話を聞いてみました。

「毒親」ってどんな親?

毒親とは、勝手な都合で子どもから「誇り」を奪い続けた親のことです。当たり前ですが、完璧な親はいません。大人の事情もあります。その中で、やむを得ずに子どもの誇りを傷つけてしまうことはあり得ることです。

ですが、自分が楽をしたいがために子どもをいいように使う、子どもの「できない」が腹立たしいあまりダメ出しを繰り返す、このような親は毒親になりえます。たとえば、子どもの親に気に入られたい気持ちを利用して「あれやっとけ、これやっとけ!」、子どもには難しいことを「なんでできないの!ダメじゃない!」と全否定する、このようなことが毎日繰り返されると子どもは誇りを失っていくのです。

大切にしてくれる人を「大切にできない」

子ども時代に失われた誇りはなかなか返ってきません。なぜなら、誇りをなくした人は「誇りを持てない生き方」をしてしまうのです。褒められた経験や大切にされた経験がないので、そういう立場になると居心地が悪くなってしまいます。そこで、無意識のうちに自分の価値を落とす行動をしてしまいます。

たとえば、褒めてくれた人や大切にしてくれる人に素直になれないで嫌な思いをさせてしまう、周りから見ると十分な仕事をしているのに「もっともっとやらなければ!」と追い込むあまりヒステリックに余計なことをして周りを困らせてしまう、といった行動が多いようです。

毒親からの「呪縛」を乗り越えるには

大切なことは親を呪うことでも、自分を嘆くことでもありません。自分の誇りのなさに違和感を持つことです。あなたは、あなたなりに誇りを持っていいだけのことはやってきていませんか?あなたほどやっていない人が、あなたよりも自分を誇っていませんか?

あなただけが、なぜ誇りをもてないのか疑問に思ってください。そして、信頼できる人たちにその思いを語ってください。「5分だけでいいから黙って聞いて、うなずいていて!」とお願いするのもいいでしょう。

あなたのハートのちょっと痛いところを人に話して受け入れてもらうだけで、誇りは回復し始めます。身近な人には話しにくいという人は臨床心理士やカウンセラーに手伝ってもらうのもいいでしょう。身近な人に話しやすくなるまで、あなたの痛いところを一緒に整理してくれます。

子ども時代に失った誇りは、意識的に回復させようと思うまで回復しません。誇れる自分を探す「自分探し」の旅が必要なのです。時間も気力も必要ですが、ぜひ試みてください。必要なら私たち臨床心理士がお手伝いします。

<執筆者プロフィール>
杉山 崇
神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授。心理相談センター所長、教育支援センター副所長。臨床心理士、一級キャリアコンサルティング技能士、公益社団法人日本心理学会代議員。

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