日本人も驚き。「英語ができないのは、幸福な国の証」だった

 

「英語ができないのは、幸福な国の証」

英語力のグローバルなテスト、TOEIC(Test Of English for International Communication)の2010年の平均点で、日本はアジアの30カ国中27位と低迷している。しかし、アジアの上位5位を見るとシンガポール、インド、マレーシア、パキスタン、フィリピンとなっている。

この5カ国の共通点はイギリスやアメリカなど英語国の植民地になっていたことだ。これらの国では前節で述べたように、大学教育は英語で受けるというばかりでなく、今でも旧宗主国が政治、経済、文化的な影響力を持っている。だから英米に留学したり、移住したり、英米企業の現地法人に勤めたり、という事で、英語を使わざるを得ないシーンが多い。

こういう国々では、英語ができない人はエリートとして扱われない。英語ができなければ、生涯大きなハンディを背負うので、必死に勉強しなければならない。日本人がいつ使うか分からないけど、とりあえず勉強しておこう、などと言うのとは、切実さが違う。

自国の産業を持ち、国民がみな一定の生活レベルを保っている日本では、海外に飛び出さなくても自国で幸せに生きていける。英語ができないのは、幸福な国の証でもあるのではないだろうか。 [p45]

海外で仕事をするのに必要な能力は

そうは言っても、仕事上、英語が必要な数%の人もいる。そういう人はどうしたらよいのだろうか。私の知人のAさんは、日本の自動車部品会社のアメリカ現地法人の社長をしているが、日本から派遣された駐在員に関して、次のような事情を語ってくれた。

日本からの駐在員で、TOEICで400点未満でも、明るくどんどんアメリカ人の中に飛び込んでいくような人は周囲と良いチームワークを作っている。仕事での会話と言っても、決まった専門用語と中学レベルの文法と基本表現を知っていれば、だいたい間に合う。

一番すごい人は、中卒ながら日本の現場で職長をやっていた人で、アメリカの工場でも、専門用語を並べるだけで、作業者をアゴで使っていた。それでも、1人1人を一生懸命育てようとしていて、その姿勢はアメリカ人にもすぐ伝わるので、皆、彼の言うことをよく聴いていた。

海外での仕事に必要なのは、1に専門能力、2に誠実さ・真剣さなどの人格、3にコミュニケーション能力だ。英語力は3番目のコミュニケーションの一部に過ぎない。

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