日本人も驚き。「英語ができないのは、幸福な国の証」だった

 

英語をマスターするのに2,000時間は必要

アメリカの外務職員局の調査によると、アメリカ人がフランス語、スペイン語など欧米圏の言語をマスターするには約600時間で済むが、日本語や中国語、アラビア語などは難しく2,200時間が必要だとしている。 [p33]

日本人が英語をマスターするのも2,000時間ほど必要と言われており、特に日本人が語学下手という訳ではない。単に日本語と英語はそれほど異なった言語だ、という事だ。

中学から高校までで1,300時間こなしているが、間延びして6年間もかけているから、実質500時間ほど。残り1,500時間を社会人になってからやろうとすると大変だ。

仕事を持つ社会人なら、せいぜい週2時間英語学習に使えれば立派なものだが、それでは750週、14年もかかってしまう。こういうペースでは、日本で仕事をしながら英語を流暢に話せるレベルに到達するのは、ほとんど不可能だと考えた方が良い。

成毛氏は日本人の社会人が、目的も必要性も不明確なまま、英語の勉強をするよりは、学問や読書をする事を勧めている。確かに、1,500時間もあれば、1冊3時間としても、500冊は本を読める勘定になる。どんな分野でも、500冊も本を読めば専門家のレベルに達するだろう。その一部で古典を繰り返し読めば、人格も磨ける。

科学技術や法律、経済に限らず、ドイツ哲学だろでも英米文学だろうが、日本では日本人による著書や、世界の名著良書の邦訳が揃っている、という日本人だけが享受できる幸福を活用すべきた。

そうして身につけた業務能力と人格は、国内でもそのまま役に立つし、海外に駐在になっても頼りにされる。英語は、現地に行ってから泥縄で練習すればよいのである。

現地でなら集中的に英語を使いながら習得できるし、現地の真剣勝負の中で必要性がはっきりしてから身につけた方が効率的だ。Aさんの言うように、専門能力と人格が身についていれば、英語は即席でも仕事はできる。

国際派日本人にお勧めの英語勉強法

弊誌で今まで英語教育を扱ってきた号ともあわせて、年代別の英語勉強法をまとめると、以下のようになる。

  • 小学校まで:幼児に英語を教えるのは百害あって一利なしであるから、まずは国語をきちんと教えて、言語能力、論理的思考能力を鍛える。英語塾に通わせるよりも、論語の素読や日本語の名文を暗唱する塾に入れて日本人としての背骨を鍛えるべきだ。
  • 学生時代:中学、高校では文法中心の英語をしっかり勉強する。英文法と知的に格闘することで、国語の力も磨かれる。大学に入って、将来、英語が必要な数%になる志があるなら、その文法力の上で、英米人の英語ではなく国際コミュニケーション用の英語(イングリック)を学ぶ。
  • 社会人:英語を勉強する暇があったら、自分の専門分野の勉強をするか、日本の古典や歴史を学ぶ。もし、本当に英語が必要な数%となったら、現地で泥縄の勉強すれば良い。

これによって専門能力と日本人としての品格を持って、国際的な舞台でも流暢ではないが論理的な英語できちんと自己主張ができる国際派日本人になれるだろう。

文責:伊勢雅臣

image by: Shutterstock

 

Japan on the Globe-国際派日本人養成講座
著者/伊勢雅臣
購読者数4万3千人、創刊18年のメールマガジン『Japan On the Globe 国際派日本人養成講座』発行者。国際社会で日本を背負って活躍できる人材の育成を目指す。
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