自転車の「危険行為」罰則強化、改正法施行から半年後の課題とは

2016.01.22
by Mocosuku
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昨年6月1日に施行された「改正道路交通法」。この改正法では、自転車の運転において14項目の「危険行為」が定められ、3年以内に2回以上摘発された違反者には有料講習が義務づけられたことが注目を集めました。そして先日、この改正法が施行されてから昨年11月末までの半年のあいだに、こうした自転車の「危険行為」による全国での摘発件数が6521件となったことが、警察庁のまとめにより判明しています。

スマホ、イヤホン、傘での摘発は

摘発の事例を項目別で見ると、「信号無視」が2790件で最多となり、次いで多かったのが「遮断踏切への立ち入り」(1659件)。改正時に話題となった安全運転義務違反は715件、通行区分違反は111件という結果でした。また、この間に2回摘発されて安全講習を受けたのは、全国で4名(大阪府3人、岡山県1人)。改正時の「厳罰化」の印象からすると、少ないような気もしますね。

上記の危険行為のうち、「安全運転義務違反」については、イヤホンで音楽を聴いたり、スマホを操作しながらの運転や、傘を差しながらの運転が「取り締まりの対象になるのでは?」と話題となっていました。

とくにイヤホンについては、両耳に装着して大音量で音楽を聴いている人は危険ですが、片耳イヤホンでラジオを聴いているお父さんなどはどうなのかがが取り沙汰されていました。しかし警視庁によると、イヤホンについては「片耳、両耳」の問題ではなく、「安全運転に必要な音や声が聞こえているか」が判断の基準になるとのこと。また、スマホを操作したり、傘を差したりしながらの運転は、片手運転となり自転車の確実な操作を損なうため、取り締まりの対象となるそうです。さらに、傘を自転車に固定する器具を使った場合については、大阪でこうした器具を使って走行中に歩行者に接触し、負傷させたことで、自転車の運転者が摘発されたケースがありました。

自転車の「逆走」とは?

また、「通行区分違反」については、そもそも自転車の「逆走」について、一般にあまり周知徹底されていないことが問題といえます。

自転車はあくまで「軽車両」であることから、「車道の左側」を通行するという原則によるものですが、交通量の少ない道路や、そもそも車1台がやっと通れるような道路では「状況に応じて」という暗黙の了解のようなものがあります。しかし、道路の端の白線などで区切られた「路側帯」といわれる部分をルールを守って走行している人にとっては、突然正面から「逆走」してくる自転車がいたら危ないものです。こうした問題を解決し安全な、自転車の通行区分について誰にでもわかるように周知をはかりルール厳守を徹底していくことが必要といえるでしょう。

「自転車も車」という認識が大事

改正法が施行され、取り締まりが強化されたといわれる現在においても、スマホを見ながらの「ながら運転」や夜間の無灯火といった危険行為をする自転車の運転者は後を絶ちません。こうした危険行為を繰り返す人について感じるのは、自転車を「車両」と認識しておらず、むしろ「歩行者と同類」と認識しているように見えるということです。しかし、昔に比べて性能が上がり、子ども用でも十分なスピードが出るようになった現代の自転車は、それだけに歩行者と接触した場合など、相手に重大な被害を与えてしまう可能性が高くなっています。

自転車に関する事故の被害者や加害者にならないためにも、「自転車も車」であり、交通ルールを守って運転しなければならないということを、子どものうちから自転車の乗り方とともに教えておく必要があるでしょう。

<参考>

自転車運転者講習の対象となる危険行為 警視庁

自転車でイヤホンは本当にダメ? 傘の固定は? 警視庁に聞いてみた with news

自転車は車のなかま 警察庁

自転車の路側帯通行について 警視庁

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記事提供:Mocosuku

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