米では賠償金額185万ドルの訴訟も
アメリカではマタハラをめぐって、訴訟に発展した人もいます。
米Bloomberg BNAによると、米AutoZoneで店舗管理者として働いていた女性が、妊娠をきっかけに会社を解雇される事件が2005年にありました。
女性は2008年から会社を相手取り訴えていましたが、2014年、裁判所はなんと185万ドルの損害賠償金の支払いを会社側に命じました。
個人に支払う賠償金としては最高額とも言われ大きな注目も集めました。
しかし、これはレアなケース。
英マリークレールでは、マタハラを受けている女性の多くは、出産後も同じ会社で働くことがほとんどで、トラブルメーカー的な存在になることを避けたいなどの理由から、自分の身に起きたことを公に話すことができないと報じています。
オセアニアでは妊娠中のテレビレポーターに「目障り!」と苦情
ニュージーランドでは「妊娠差別」をめぐり、ひと騒動がありました。
Parent Heraldによると、ニュージーランドのテレビガイドに男性視聴者から1通の苦情が届きました。
内容は「先日、妊娠中のレポーターがテレビにでていたけど、恥ずかしくて目障り。他の人と交代すべきだ!」という驚くべき苦情。
この男性の年齢は69歳で、3人の子供の父親です。
これは一時大きな論争に発展しましたが、結果的に男性が謝罪する形で一見落着。
しかし、このような発言から妊娠女性に対する差別が浮き彫りになったとも言えます。
マタハラは日本だけではなく、欧米でも大きな問題になっていることがわかりました。
ただ、欧米では個人が自分の権利を主張する傾向にあるので、不当な扱いを受けた際には声を大きくして、訴える人が多いようです。
この問題をどう捉えて、社会に訴えていくのかというのが重要なのかもしれません。
東京新聞によると、政府は2017年1月よりマタハラの防止措置を義務付ける方針を決めました。
現行法では、妊娠や出産、育児休業の取得を理由とした退職を強要し、降格などの禁止に加えて、事業主に相談窓口の設置や上司らの研修などを義務付けることになったそうです。
新たな防止法が施行されるまでには、まだ時間がかかりますが、いい方向に向かっているのかもしれません。
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source: Diplomatic Courier, Marie Claire, BNA, Parent Herald, 東京新聞
文/MAG2 NEWS編集部