プーアール茶(普洱茶)は、中国雲南省を原産地とした中国茶の一種です。ダイエット効果があるお茶として知られていますが、独特の風味があるので好き嫌いが分かれるお茶でもあります。ここでは、プーアール茶がどんなお茶なのかについて見ていきましょう。
プーアール茶は「黒茶」の一種
中国茶には、緑・黄・白・青・黒とそれに紅茶と6種類のお茶があります。プーアール茶は、黒茶の仲間です。
日本で一般的に知られているプーアール茶は、緑茶をコウジカビで発酵させた「熟茶」です。もうひとつ、経年によって茶葉を熟成させた「生茶」というタイプもあり、近年は生茶を扱うショップも増えてきてきました。
熟茶は独特の甘みと柔らかなとろみがあるのが特徴で、生茶は苦味と渋味のお茶らしい味わいを特徴としています。以下、主に熟茶について見ていきましょう。
発酵によって健康成分が増加
プーアール茶の熟茶を作るには、茶葉を高温高湿の環境に置き、コウジカビを使って人工的に発酵させます。この工程は「渥堆」(あったい)と呼ばれ、ここで茶葉の成分に大きな変化が起こます。
具体的には、カテキンが「重合カテキン」や「没食子酸」(ぼっしょくしさん)といった成分に変わります。これらの成分には脂肪の分解や排出を促す働きがあることから、熟茶はダイエットに適しているとされます。
また、渥堆の過程でプーアール茶の独特の風味が加わり、色が暗褐色になります。高分子多糖類も生成されるため、プーアール茶独特の甘みも出てきます。ほかにもさまざまな成分が生成されることから、健康に良いお茶とされるのです。
プーアール茶の効果
プーアール茶(熟茶)には、下記のような効果があると言われています。
(1)脂肪燃焼
中性脂肪を燃えやすくするリパーゼという酵素を増す働きがあります。これによって体内に蓄えられていた中性脂肪(皮下脂肪)が燃焼されるための準備のかたちである「遊離脂肪酸」に変化するのです。遊離脂肪酸は運動などで燃焼されやすいため、ダイエットにつながるというわけです。
(2)脂肪吸収ブロック
脂肪は体内で分解・吸収される際、「乳化」という吸収されやすいかたちに変わります。プーアール茶に含まれる重合カテキンと没食子酸は、脂肪を乳化する胆汁と結びついて、脂肪が消化・吸収されるのを防ぎます。乳化されなかった脂肪は体外に排出されるので、中性脂肪の増加が抑えられるのです。
(3)その他の効果
高血圧や心臓疾患など生活習慣病の予防効果が期待できるほか、抗酸化作用により胃腸の働きをよくし、肌トラブルの改善・予防、内臓の老化予防などに役立ちます。さらに、免疫力アップや、血行を良くして新陳代謝を促してむくみを解消するといった効果も期待できます。
プーアール茶のおいしい飲み方
小さめの急須を温めて、茶葉を約5g入れます。茶葉にさっと熱湯をかけてすぐにお湯を捨てます。これを「洗茶」といい、長く寝かした茶葉のほこりを落とし、茶葉の開きをよくするための作業です。
あとは、飲む量だけの熱湯を注いて、最後の一滴まで注いで飲みましょう。なお、お湯を注いでから蒸らすのは、数十秒ほどでOK。何分も蒸らす必要はありません。
プーアール茶には独特の風味があるため、「カビっぽいにおいがするので嫌い」という人もいます。しかし、最近は「蒸気殺菌」という加工を施してクセを少なくし、マイルドな味わいにしたものも登場しています。プーアール茶に苦手意識がある人は、そうした製品を試すのもいいでしょう。
執筆:南部 洋子(看護師)
監修:山本 ともよ(管理栄養士)
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