監修者が大学講師で、就職・面接に強いため、内容は、全体的に新卒に向けた初歩的なものなのですが、クレーム対応に役立つ内容も、結構記載されています。例えば、P185には、
「○○できません」でクレーム倍増!?
という見出しで、簡単な事例が紹介されています。「いたしかねます」「できかねます」への言い換え、「大変恐縮ですが」「あいにくと」などの、クッション言葉との併用例も、うまく説明されていますね。
P193の「即断回避のテクニックとは?」では、
「一度社に持ち帰って、上司と相談したいと思います」
「わたしの一存では、なんとも申し上げかねますので…」
などの先送りフレーズとともに、
「○日ほどお時間をいただけないでしょうか」
「○日にはご返事を差し上げますので」
といった期間を区切るという、クレームでも使える、少し高度なテクニックも紹介されていました。
また、第4章、第5章では、電話とメールでの誤用の実例、よりベターな表現が解説されます。P206では、
「お戻りになられましたら、お伝えください」
実は、これもNG表現なのですが、正解は、
「お戻りになりましたら、お伝えください」
なんです。お恥ずかしながら、わたし、結構これは言っちゃってますね。
P220の「不要な営業電話の撃退術」などは、社会人になって、しばらく経っている人でも、なるほど、と思えるものではないでしょうか。
こちらの書籍、実は敬語に特化した本ではなく、社会人としてのコミュニケーションのとりかたや、マナーについても、多くページが割かれています。また、ヒトコマ漫画形式の挿絵も多めで、内容に即していて、ちょっとニヤッとできて、いい味出してますよ。
新卒が読む敬語の教科書なのでしょうが、敬語に慣れてきたり、中堅に差し掛かっている人が、クセを矯正したり、初心を思い出す効果が期待できます。
名刺は、こちらから差し上げるもので、相手の好意でいただくものというところは、個人的に目からウロコでした。社会人としての基本的なマナーや、コミュニケーション力、ことばづかいに自信がない方は、一読しておくと、かなり勉強になるのではないでしょうか。
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