『真田丸』第6話をマニアック解説。氏政は息子に社長を譲った会長?

2016.02.14
by yomeronpou
6回目 copy
 

前回の放送で視聴率が19%と調子を上げ、根強い人気を見せつけたNHK大河ドラマ『真田丸』。MAG2 NEWSではナワバリストと呼ばれる城郭研究家たちが、毎回のドラマをさらに楽しむためのワンポイント解説をお送りいたします。今回は、高嶋政伸さん演じる北条氏政に注目し、小田原城主・北条一族が、いかにして乱世を生き抜いてきたかを解説します。

今週のワンポイント(2月14日)

今週の注目人物は、北条氏政氏直。 氏政は、一般にはそれほど高い評価を得ていないけれど、北条五代の中ではもっとも勢力拡大に成功した当主だし、活躍期間も長い。ドラマで描かれている天正10年の時点では、すでに氏直に家督を譲り、大御所として戦略や外交の指導に当たっていた。ではなぜ、そんな「院政」が必要かというと…。

氏政が勢力を拡大してゆくと、まわりにひしめていてる中小の国衆たちが北条軍の傘下に組み込まれてゆく。彼らはもともと自立した存在で、北条家から所領を与えられているわけではなく、小なりといえども自分の領地を自力で守って来たわけだから、北条家の衛星国ではあるけれど家臣ではない。氏政が家督を氏直に譲ると、北条家の家臣たちは新しい当主に従う。でも、家臣でない衛星国の国衆たちは、あくまで氏政の実力に従っているわけだから、新当主という肩書だけで 氏直の言いなりになるとはかぎらない。 

それに、氏政の弟である氏照(滝山城主)、氏邦(鉢形城主)、氏規(韮山・三崎城主)は、氏直から見れば叔父。実力派の叔父達を、若い氏直が頭ごなしに仕切るというのは、現実的には難しい。 だから、氏政が後ろ盾となって若い当主に実績を積ませながら、権力を継承させてゆくわけだ。わかりやすく言うと、本社の社長を息子に譲って自分は北条グループ全体の会長になる、みたいな話だ。 

ちなみに、北条家は五代百年にわたり、家督継承をめぐる内紛を一度も起こしていないが、こんな戦国大名はほかにいない。したたかな家なのである。(西股総生)

今週のワンポイントイラスト

氏政、氏直、氏照、氏邦、氏規…氏だらけだけど、それぞれ個性が光る北条グループ。兄弟の 結束はどの家にも負けません! ちなみに氏照は笛の名手だったそうです。雅〜!

 

文・絵/TEAM ナワバリング(西股総生・みかめゆきよみ)

ナワバリスト(城郭研究家)の西股総生率いる、お城(主に山の城)と縄張りを愛する3人組

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