一番の危険は孤立と貧困のダブルパンチ。40代のうちに打つべき手とは

人生 転機(1)
 

「学校では評価が低いまま、社会に出ても上手くいかない。自分は一生孤独になってしまうのではないか?」そんな不安をもった40代男性読者からの質問に、メルマガ『石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」』にて、直木賞作家・石田衣良さんが答えています。果たして、石田さんからのアドバイスとは?

社会にでても上手くいかない。孤立したらどうしよう。

Question

shitumon (1)40代の男性です。以前メルマガで、「学校でつらいことがあっても、とりあえず逃げて社会に出れば、いろんな世界がある」と言っていましたが、学校での評価が低いままだと社会で採用になってもなかなか上手くいかないことが多々ありました。今はバイトしていますがプライベートでは孤立しています。

 

 

石田衣良さんの回答

なるほど。実はこれは、半分は時代の問題なんですよ。例えばぼくらの時代は、大学を卒業するとほぼ、90パーセント以上の確率で正社員になれたし、そんなにひどいブラック企業みたいなのはありませんでした。でも、今は大卒でも、40パーセントぐらいは非正規になったりアルバイトになったりしてしまうので。

きっとあなたは、そこのところの、出だしの部分でつまずいちゃったと思うんだよね。そこでつまずくと、浮かび上がってもう一回正社員になるっていうことが、とくに40代だと難しいじゃないですか。正直言って、時代がだんだん厳しくなってしまっているなっていう気はします。

ただ、ぼくが以前に話した内容というのは、いじめの問題に対してなんだよね。学校にいる間にいじめにあったり、成績の問題で落ち込んでいたりする と、それが一生続くように思えるけれど、社会に出ると何度かのやり直しの機会があるよっていう話だったんですよね。あなたは、今40代でかなりつらい目に あっているという話なんですけれど。そこから何か、じりじりと挽回するために、自分に何ができるかというのを、ゆっくり考えてみてほしいですね。

まず大事なのは、貯金をすること。それと、孤立している人同士で何かうまくつながれる場とかはないか、探してみること。公的な機関でもいろいろやっ ています。例えば、町の読書会。他の人と一緒に同じ本を読んで話をするような場に行ってみるとか。非正規で働いて孤立している人同士を結ぶ場もいろいろと あります。アルバイトや非正規の人でも入れる組合なんていうのもあるし。まずは、自分の場所を見つけるために、動いてみたらどうですか。

一番危険なのは、孤立経済的な困難ダブルで来ることなんですよね。なので、その両方を少しずつ改善していくための手を、40代の今から打ちま しょうよ。もしかしたら結婚っていうような、良いソリューションがあるかもしれないし。苦しいかもしれないけど、月に1万円、2万円でもいいので、資産を つくっていくということにチャレンジしてほしいですね。

今、自信がなくて「このまま一生ずっと一人で過ごすのかな」って怖がっていると思うんですよ。でも、そんなことはないので。自分から動いてみれば、 必ずそこに人がいますから。世の中って冷たい人も多いけど、助けてくれる人もたくさんいます。自分なりの安全ネットを今から作っていきましょう。40歳 だったら、これから10年、20年という期間を使えるので。20年かけて作った安全ネットだったらなかなかのものになりますよ。自分が助けられるだけでは なく、あなたが相手を助けてあげられるようになるかもしれません。

source: 石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」

image by:Shutterstock

 

石田衣良石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」
著者:石田衣良
本と創作の話、時代や社会の問題、恋や性の謎、プライベートの親密な相談……。
ぼくがおもしろいと感じるすべてを投げこめるネットの個人誌です。小説ありエッセイありトークありおまけに動画も配信。週末のリラックスタイムをひとりの小説家と過ごしてみませんか?メールお待ちしています。
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