テレビキャスターは「権力」と対峙できるのか?

 

電波を私物化?田原総一朗氏

Q:29日の記者会見で、田原総一朗さんは『高市氏の発言は非常に恥ずかしい』と語ったようです。田原さんと高市さんは、かつてテレビで一悶着ありましたね?

小川:「そうでした。高市さんには、電波を私物化したのと同然の田原さんに対する抜きがたい不信感があることは、知っておいてもよいですね。2002年8月に田原さんの番組、テレビ朝日『サンデープロジェクト』で起こった出来事で、ちょうど私も見ていました」

田原さんが突然下品下品と言いはじめたので、私は非常に驚きました。自分が出ていたとしたら、すぐ立ち上がってぶん殴ったに違いない、と思いました(笑)。何かヒドい錯覚でもしたのか、よほど体調が悪くてイライラしていたのか、ちょっと普通ではない感じでしたね。当時の高市さんのブログは、いまでも読むことができます」

田原総一朗さんへの反論(早苗コラム 2002年08月27日) 

(以下、冒頭部分を引用)

8月18日放送の「サンデープロジェクト」にて、田原総一朗さんが、私に対しておっしゃった言葉について、25日の番組で謝罪がありました。

18日の放送では、「満州事変以降の戦争は、日本にとって自存自衛の戦争だったと思うか?」との田原さんの問いに対して「セキュリティーの為の戦争だったと思う」と私が答えた途端、田原さんがまくしたて始めました。「下品で無知な人にバッジつけて靖国のことを語ってもらいたくない」「こういう幼稚な人が下品な言葉で靖国、靖国って言う」「靖国神社に行ったら、下品な人間の、憎たらしい顔をしたのが集まっている」

全国ネットの生番組で突然「下品」といった言葉で罵倒され、あまりの出来事にしばし茫然。数分前に「国立追悼施設新設の是非」について私が行なった説明の中に下品な言葉遣いでもあったのかしら・・と思いを巡らしながらも怒りが込み上げ、怒鳴り返したいのを我慢して座っているのが精一杯でした。その後、この件では反論のタイミングも得られないままに番組が終了。

小川:「靖国問題や歴史問題については、さまざまな考え方がありますし、高市さんと私は25年以上の付き合いですが、考えは違います。それを議論するのはよい。問題だと思うのは、テレビでは政治家は、何をいわれても相手をぶん殴れないわけです。何百万人か見ている前で逆上して人を殴るような、感情をコントロールできない人物なのか、と思われてはアウトですから。そうと知りながら、政治家に下品』『幼稚』といった言葉をぶつけて煽るのは、やはりフェアな態度とはいえないし、電波を都合のよいように私物化していると言われても仕方ないでしょう」

「そもそも番組に呼んだ相手が中曽根康弘さんとか、あるいは小泉純一郎さんや小沢一郎さんだったとしたら、やっぱり『下品』『幼稚』といった言葉は使わなかっただろう、と思いますよ。田原さんだけではなく、記者会見に出てきたキャスターたちは抵抗できない相手を徹底的に叩くけれども、強い相手には形通りの反権力の姿勢を示すだけだし、その場で反論してくる相手は避ける、つまり番組に呼ばないということです」

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