テレビキャスターは「権力」と対峙できるのか?

 

キャスターは権力と対峙できるのか

Q:テレビキャスターやジャーナリストの会見や声明を、どう思いましたか?

小川:「みんな知っている人たちですが、率直にいって、強い違和感を覚えざるをえませんでした。というのは、『私たちは怒っています!』といい、高市発言に猛抗議する彼らは、こういっては失礼ながら、『電波芸者稼業の人たちばかりでしょう」

「権力に対して本当に強い人──つまり、ジャーナリストとして研鑽を積み、実績も重ねて、もちろんある分野に限っての話ですが、どんな政治家や官僚が出てきたときも『あなた方の考えは、ここがおかしいではないか。何をやっているんだ』と、権力と渡り合えるような人が一人もいないようです。それで、権力と向きあうだの、彼らの圧力をはねのけるだのと、よくいうよ、という感じが否めません」

集団的自衛権の問題で参考人として国会に呼ばれたとき、誰とはいいませんが、会見出席者の1人と同席したことがあります。その人が『平和が大切で戦争は反対』と考えていることはわかりましたが、それ以上に実のある話は何一つしませんでした。この人に生放送で『いい加減なこというな』と言ったことがありますが、その後1年くらい、顔を合わせるたびに、遠くから私をにらんでいましたね(笑)。会見出席者のなかには、安保法制廃止を主張する人もいますが、残念ながらいくら聞いても、高校生あたりが叫ぶ反対論との違いがわかりません

「私は彼らの番組に出たこともありますが、呼ばれるのは、イラク戦争の戦況はどうで、あと何日で決着がつくだろうかとか、北朝鮮が発射したミサイルはどんなもので、日米韓はどんな態勢で備えているかとか、ようするに軍事オタクならわかるようなことを解説してくれ、という依頼ばかりです」

集団的自衛権の行使容認をどう考えるべきか、といった重要な問題では、まず呼ばれることはありません。そういうときはテレビは、私がかつて何度も論破した、素人に毛の生えたような人たちだけを集めて、低次元の議論をするのが常です。たぶん私が入ると、『Aさん、あなたの考えはここが間違っていますよ』、『Bさんはそういうけど、米軍のこんな例をご存じないのですか』……というように収拾がつかなくなるので、呼ばれないのでしょう」

「いつも専門家の私をテレビから排除しようとしてきた人たちですから、そもそもまともに主張を聞く気になれない、と思ったのも正直なところです」

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