さて、北海道新幹線においても並行在来線の分離が行われますが、ほかの新幹線と異なる点がひとつあります。
それは青函トンネルでは貨物列車と線路を共有するため、共有区間(新中小国信号場~木古内間)については並行在来線として分離されず、JR北海道がそのまま保有しています。
一方で完全に別の線路となる本州側の青森~新中小国信号場間と、北海道内の木古内~五稜郭間では対応が異なります。
北海道側は従来と同様に分離されて第三セクター鉄道に転換されますが、本州側はなんとJR東日本がそのまま経営します…。
ん?
JR東日本??
北海道新幹線ってJR北海道じゃなかったっけ?
そう思ったアナタ、実に鋭いです。
今回の北海道新幹線では並行在来線と新幹線の経営主体が異なる区間があるため、本州側の津軽線は並行在来線ではないという解釈がなされ、引き続きJR東日本が経営することになりました。
これにより津軽線(青森~三厩間)は青春18きっぷで乗車することが可能となり、前回記事のような楽しみ方(竜飛岬へ行くなど)が可能です。
明暗をわけたのは北海道側で、木古内~五稜郭間は第三セクターの道南いさりび鉄道に転換されてしまいます。
当然ながら青春18きっぷでは乗れませんが、連載初回の記事にも書いたように「オプション券」を購入すれば「通過」することは可能です。
「通過」とはたとえば北海道新幹線を降りて木古内から道南いさりび鉄道に乗る場合、そのまま五稜郭まで乗り通すことを「通過」といいます。
もし途中の上磯とかで列車を降りてしまった場合は「通過」とはならず、木古内~上磯までの運賃が別に必要となりますからご注意下さい。
またこれが可能なのは「青春18きっぷ」と「オプション券」の両方を持っている場合だけで、それ以外(青春18きっぷ「だけ」持っている、北海道東日本パスを持っているなど)の場合は道南いさりび鉄道の運賃(=きっぷ)が別に必要となります。
このように大変ややこしい事態となってしまった北海道新幹線開業ですが、果たして今後どうなってしまうのか…。
筆者のみならず、この記事を読んて頂いた「みんなで」注視して行きましょう。
Image by: 中尾一樹
Source by: 客車隊報
「客車隊報」
著者/中尾一樹(海峡同盟 代表)
青春18きっぷやクルーズ列車等の情報を中心としたメルマガを配信中。旅行サークル「海峡同盟」では青春18きっぷで北海道に行けなくなる可能性が発生したことをきっかけに2001年に結成。最近は海峡特例を守ることを目的として、国土交通省・運輸審議会が主催する公聴会に参加し公述人として意見するなど活動を行っている。