それに、どんな人にでも必ず好きになってくれる人が現れるんだよね。その人が完全に心を閉じて、すべての人をシャットオフしてなければ。
だって考えてみたらバブル期の未婚率って2%から4%なんだよ。だから相手のことをとやかく言わないで、「自分のことを好きになってくれる人が好き」って言えるのであれば、どんな人でも結婚できて子どもも作れるの。なので、「もう自分はだめだから」といって、外の世界を切り捨ててほしくはないんだよね。
顔の美醜なんて、時間が経てばどんどん変わってくるし、洋服のセンスを磨いたり、化粧をちゃんとしたりするだけで本当に見違えるようになるからね。女の子は化け方がいくらでもあるし、うまく自分をリードしながら、なるべく幸せな人生を送るっていうのがいいんじゃないかな。
今、空爆されたシリアの街を、ドローンで撮った映像がYouTubeとかVineにあがっているよね。ああいうのを見ると「あっ」て思うよ。今朝の新聞にも載っていたけど、トルコからゴムボートに乗ってギリシャとかイタリアに向った難民が、100人も200人も死んだっていうのがニュースになっていたんだよね。
もちろんそういう人と同じ条件とは言わないけれど、「ちょっと顔がかわいくないからって、絶望するだけでいいのかな」っていう気もするじゃないですか。なので、世の中を広く見た上で、女の子としての武器、ファッションや化粧を本気で勉強してみたらと言いたいですね。それと、ちゃんと君のことを好きになってくれる人が現れるから、だいじょうぶということは伝えておきたいな。
それに今、社会に出て何か仕事をして輝いている人って、必ず孤独な時期があって、自分なりの地獄めぐりをしてきているんだよね。そうでない人って伸びないんですよ。ただ条件に恵まれて、周りに与えられた仕事を淡々とこなしているだけではダメなので、今君が本物になれるかどうかの瀬戸際にいるんだと思って、踏ん張ってほしいな。
source: 石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」
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『石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」』
著者:石田衣良
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