中国軍部を抑えきれない習近平に米国激怒。オバマが次に放つ一手とは

 

王岐山の行動

中央規律検査委員会トップの王岐山は、中国では珍しい清廉潔白な人であり、その人物が中国の政治家たちを取り締まっているために、政治家や行政官が我慢できるか、海外に逃げ出しているのである。

この王岐山は、時々行方不明になっている。多くの場合は、省トップの汚職を摘発するするために、行動していると見えているが、米国などの要人と会っている可能性もあった。

王岐山が経済担当の副首相時代に、当時のヘンリー・ポールソン米財務長官と親友になり、そのポールソンを経由して、いろいろな情報を得ることが出来る。もう1つ、中国の経済的な発展をするためには親米的である必要を強く感じている。

2014年に習近平が団派の追い落としのために、胡錦濤・前国家主席の最側近である令計画を汚職で逮捕したが、令計画は、習近平など党要人の不正蓄財や情事に関する情報を集めていた。その情報を義完成氏に預けて、もしものことがあったら米国に逃亡して情報を米国政府に渡すように指示していた。

このため、米国政府は習近平の汚職情報を持っている。この情報を返還してもらう交渉を習近平は王岐山に指示して、王岐山はポールソンを交渉窓口にして、米政府に完成氏の中国への引渡しと情報の返還を求めた。

王岐山の反乱

王岐山も危機的な状況での総書記への権力集中を了解していたが、習近平は、個人崇拝のために、毛沢東の文化大革命と同じようなことをし始めて、共産党内の自由な議論も制限し始めた

自分の親友である任志強が、「人民の政府はいつ党の政府になった?」「すべてのメディアの姓が党になって人民の利益を代表しないようになったら、人民は忘れ去られて片隅においやられるんだ!」といった批判をネットの微博上でつぶやいた。

これに対して、中国の大手ネットメディアらは「任志強は西側憲政民主の拡声器だ」「任志強は民衆の代弁者のふりをして、民衆の反党反政府の憤怒の情緒を扇動している」などとバッシングを開始した。これは、あたかも、文革のつるし上げの様相であった。

王岐山は2月28日、汚職Gメンこと中央規律検査委員会巡視隊を中央宣伝部に派遣し突然の「ガサ入れ」を行って、中央宣伝部およびメディアを黙らせるとともに、3月1日に中央規律検査委機関紙「中央規律検査監察報」上に「1,000人が唯々諾々と語るより1人の士の諤々とした発言の方がまさる(千人之諾々、不如一士之諤々)」と題した原稿を発表させた。1人の士とは任志強である。

とうとう、王岐山まで習近平に反乱したことを見て、習近平批判をして投獄された著名ジャーナリストでコラムニストの賈葭氏(35)も釈放されたのである。

王岐山は、全人代でも習近平に気安く声をかけていたが、王岐山は習近平の汚職情報を持ち、いつでも習近平を刺すことができるようである。

このように、王岐山の反乱で習近平の権力集中は失敗したのである。

中央軍事紀律検査委員会書記(中央軍事委副主席兼務)のポストに親友の劉源を迎え、王岐山と同じような役割を期待したが、殺されると劉源は固辞して退役している。これにより、軍部も抑えることができない状態になっている。

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