【3分間書評】1本30万円でも売れるお茶のヒミツ

Jozef Sowa/ShutterstockJozef Sowa/Shutterstock
 

今回の「3分間書評」で取り上げるのは、ワインボトル1本でなんと30万円という超高級茶を販売している、とある小さな会社の女性社長による一冊。お金も伝統もない状態から、世界に通用するブランドを創り出すためには、単に客層を広げようと努力するのではなく、あえて絞り込むという勇気が必要なようで……。

2Q==

『わが社のお茶が1本30万円でも売れる理由』吉本桂子・著 祥伝社

こんにちは、土井英司です。

高級ブランドビジネスと、手軽で良質を売りにするビジネス。おそらくこれからは、この2つがビジネスの主流になっていくことと思われます。

本日ご紹介する一冊は、手摘み茶葉を水出しし、ワインボトルに詰めて販売、1本30万円でお茶を売るという、ロイヤルブルーティーの代表、吉本桂子さんによる一冊。

両陛下ご臨席の植樹祭、APEC横浜、アウンサンスーチー女史の晩餐会、JALファーストクラスでの採用などでブランドを築き上げてきた同社が、どんな原則を大事にしてブランドビジネスを成功させてきたか。本書には、その原則と秘訣が書かれています。

世界展開を最初から見据えることや、ブランドを個人のインフルエンサーに委ねず、法人に絞ること、ひとつに絞る勇気など、今時のブランドビジネスで必要なことがひと通り書かれています。

さっそく、チェックしてみましょう。

取材の際に「試飲させてください」と頼まれることもありましたが、丁重にお断わりしています。「MASA Super premium」は受注生産しているので、お金を払っていただけないとつくれないのです

30万円のお茶は、まさに一期一会の一品

ストーリーテリングのために自分がなぜこの事業を立ち上げたのか、徹底して振り返りました

幅広い客層に受け入れてもらうことが、大ヒットやブームにつながる。そう考えてしまうかもしれませんが、これは最も陥りやすい間違いです。どの層を顧客にするか。これは、広げるのではなく、絞り込むほうがいいのです。誰もが買える価格帯の大衆ブランドか、富裕層がメインの顧客となる高級ブランドか。どちらかに大きく振ったほうがブランドとしてアピールできます

私が最初の顧客に選んだのは、バカラでした

実は、バカラから出された条件がひとつだけ、ありました。それはひと言でいってしまえば、バカラのイメージを損ねるような顧客とは付き合ってほしくない、というものでした

自社のこれからのセールスを考えたときに、「誰が顧客になっているのか」が大切だと考えた

私が意識したのは、特定の個人をインフルエンサーにしないということでした。インフルエンサーになってもらうのは法人、と考えました。なぜならば、芸能人や著名人にはリスクが伴うからです

「屏風と料理屋は広げると倒れる」(吉兆創業者 湯木貞一)

ひとつに絞る勇気が、これからのビジネスには必要

若干宣伝臭がするのが気になりますが、高級ブランドビジネスを成功させたい人には、参考になる一冊です。

小さな会社がお金をかけずにブランドを創る方法。知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。

『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』
著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
<<登録はこちら>>

print
いま読まれてます

  • 【3分間書評】1本30万円でも売れるお茶のヒミツ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け