運命の6月23日。EU離脱の是非を国民投票に託したイギリスの行く末は

 

ノルウェーなどはEUに対抗するため、欧州経済地域(EEA)を設立・運営してきました。EEA加盟国であるノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインはEUに加わることなく、加盟国とほぼ同様の扱いを受けています。また、スイスはどこにも属さず一連の条約によりEUと複雑な取り決めをしています。とりわけ英国は欧州でも1、2を争う経済規模であることからEU離脱を決めても完全に袂を分ける事態には発展することはないでしょう。

エコノミストではないため具体的な経済的な影響は分かりませんが、現実的に考えてEU離脱はないでしょう。たとえもし起こったとしても英国に与える影響はそれほど大きくなく、双方にとっての大きなマイナス材料はいずれも国際社会における影響力が薄まることになると個人的には見ています。

英国民が欧州統合への道を進むか、それとも孤立を選ぶのか見ものですが、世界大戦を2度も引き起こす原因となった欧州諸国で、統合という形で域内での対立を未然に防いできたことを鑑みて、健全たる良識が将来的な不透明感を拭い去ることを祈るばかりです。

 

著者/藤隼人(「街角の風景」連載。イギリス・ロンドン在住)
米国に長年住んだあとに意を決して帰国したものの、ちょっとした縁からロンドンに移住。欧州の歴史や文化に惹かれた著者が、東西奔放し欧州の今を多角的な観点からお伝えします。日本ではあまり知られていない音楽シーンなどもぜひ紹介していきたいと思います。

image by: MediaPictures.pl / Shutterstock.com

 

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