日本海の漂流ゴミに異変。北朝鮮から謎の「歯磨き粉」が相次ぐワケ

 

中朝国境踏査をした時に、北朝鮮に親戚訪問した朝鮮族から「歯磨き」に関する興味深い話を聞いたことがある。朝ご飯を食べて歯を磨こうとしたが、歯ブラシと歯磨き粉を忘れてきたことに気付いた。そこで「貸してほしい」と言ったら、「そんなものはわが家にはない」と言われたという。北朝鮮の人はろくに歯も磨かないのかといぶかしがりながら「歯はどうやって磨くのか」と聞いたら、家の主人は傍にあった薄黒い塩を指さして「あれでこうやるんだ」と指で磨く真似をしたという。手を洗った石鹸は黒ずんでおり、かすかに魚の臭いがしたという。この石鹸は鰊カスなどで作った石鹸で、日本にも戦前はこのような石鹸はあった。

日本海側に流れ着いた歯磨き粉は漁師と軍人が物々交換したものと思われる。金正日が軍部隊を訪問した時に、軍人たちの歯並びなどがよくないことに気づき、歯磨きを徹底するように指示し、歯ブラシと歯磨き粉を軍隊に優先的に配給するようにした。このため、市中にあまり出回らない歯ブラシと歯磨き粉も軍隊にはありそれを漁師が獲ってきた魚と交換したのである。

北朝鮮でも最近は新しい歯ブラシや歯磨き粉を生産しているが、その量は決定的に少なく、平壌市内には「歯科病院」も少なく、地方では「歯医者がいないところもあると聞いたことがある。ミサイル発射や核実験を「科学技術の発展の成果」と金正恩は言っているが、科学技術をもっと「民生活向上」のために利用してもらいたいものである。

宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄

image by: Shutterstock

 

宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』より一部抜粋

著者/宮塚利雄
元山梨学院大学教授、現宮塚コリア研究所代表。テレビなどのメディアでは決して話せない北朝鮮やアジアに関するマル秘情報、長年の研究対象である焼肉やパチンコだけではなく、ディープな在日朝鮮・韓国社会についての見識や朝鮮総連と民団のイロハなどについても語ります。
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