40〜50代といえば、まだまだ働き盛りの年代。職場の第一線で活躍している人も多いでしょう。
同時に、身体のあちこちに不具合が生じ、病気にかかりやすくなる年齢でもあります。
人間の身体は、健康が損なわれると直接的・間接的に何らかのシグナルを出します。このシグナルに早期に気づくことで、重症化を防げる病気は少なくありません。
ここでは、そんな病気のシグナルのひとつである「黄疸(おうだん)」について解説します。
血液中のビリルビンが増加した状態=黄疸
「黄疸」とは、皮膚や白眼などが黄色くなった状態を指します。
これは、血液中に含まれる黄色い色素「ビリルビン」の濃度が高くなった状態です。
肝臓や胆嚢に病気がある場合や、胆管の閉塞などの異常がある場合に発生します。
組織が黄色くなるほか、全身の倦怠感(だるさ)や皮膚のかゆみが生じる、尿の色が濃くなるなどの症状が出ることもあります。
病気のシグナルとしては気づきやすい部類に入るでしょう。
黄疸が生じたら、放置せずにただちに消化器内科を受診してください。
黄疸はなぜ起こる?
古い赤血球や損傷した赤血球は、主に脾臓(ひぞう)で取り除かれます。
その際、赤血球中に含まれるヘモグロビンは、「ビリルビン」という緑がかった黄色の物質へと分解されます。
ビリルビンは血液に入って肝臓に運ばれ、胆汁の成分として胆嚢に蓄えられ、その後腸の中に排出されます。ビリルビンを胆汁にうまく排出できなくなると、血液中の量が増えることになります。
過剰なビリルビンが皮膚や粘膜などに沈着した結果、黄疸として現れるのです。
なお、ミカンなどを連日過剰に摂取すると、手のひらが黄色くなることがあります。これは「柑皮症」(かんぴしょう)と言って、黄疸とは異なり病気の心配はありません。
急性肝炎などが原因で起こる
黄疸を起こす代表的な疾患は「急性肝炎」です。
急性肝炎は、ウイルス感染、薬剤、アルコール、自己免疫など、さまざまな原因で起こります。一方、「慢性肝炎」の場合は通常は黄疸が出ません。
また、「肝硬変」でも黄疸が生じる場合がありますが、これは肝細胞の機能がかなり低下していることを意味しています。
ほかに、「閉塞性黄疸」があります。これは、結石や腫瘍などが原因で胆汁の排出路である胆管が詰まり、胆汁が血液中に逆流することで起こる黄疸です。
黄疸の原因となった疾患の診断と治療
黄疸の原因を決定するためには、臨床検査や画像検査が行われます。
急性肝炎では、肝臓の状態が改善するとともに黄疸は消えていきます。胆管の閉塞の場合は、早期に手術を行い、閉塞した胆管を開通させる必要があります。
働き盛りの黄疸 :黄疸時のケアは清潔が肝心
黄疸が出た際は、身体を清潔にしましょう。
肝障害があるときは、免疫機能が低下して病気に感染しやすくなっているからです。
口腔粘膜には、柔らかい歯ブラシを使いましょう。
皮膚にかゆみがあってもできるだけ掻くのは避け、ローションなどを塗布して対応しましょう。
無意識に掻いて皮膚を傷つけることもあるので、爪は短く切っておきます。あとは、医師の指示を守って原因となる病気の治療に専念しましょう。
執筆:南部洋子(看護師)
監修:岡本良平医師(東京医科歯科大学名誉教授)
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