新・大塚家具はニトリに勝てるのか? 経営戦略のプロが「騒動後」を分析

 

果たして、大塚家具は業界のリーディングカンパニーになれるのか?

新生大塚家具は、勝久元会長の高級家具路線から決別し、「長く使える耐久消費財としての家具をリーズナブルな価格で、最適なソリューション提案とともに提供し、個人のみならず企業も含めた幅広い消費者ニーズに満足度高く対応することで、家具インテリア業界におけるリーディングカンパニーを目指す」という新たな経営方針を掲げています。

つまり、よりマーケット規模の大きい中価格帯の家具に軸足を移して、新たな顧客をどんどん獲得して、マーケットシェアトップを狙うというビジョンを描いているのです。

家具・インテリア業界のリーディングカンパニーといえば、圧倒的なシェアを誇るニトリです。

新生大塚家具は、果たして家具・インテリア業界の「ガリバー」ともいえるニトリを本当に抜き去って、リーディングカンパニーになれるのでしょうか?

最後に、両社の財務諸表を比較しながら、その可能性を探っていくことにしましょう。

まずは売上高で見ていくと、直近の決算では大塚家具の580億円に対してニトリは4,581億円と8倍近い差が開いています。これはひとえに店舗数の差といえるでしょう。大塚家具は全国に16店舗しかありませんが、ニトリは383店舗を展開しています。一店舗当たりの売上を単純計算すれば、大塚家具の36億円に対してニトリの12億円と大塚家具に軍配が上がりますが、店舗数には15倍近い開きがあり、これが売上の差となって表れてきているのです。

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また、大塚家具は直近5年間の売上高はほとんど成長していません。一方でニトリは毎年5%から11%の間で堅調な成長を達成しています。この売上高の成長の背景にもやはり新たな出店のない大塚家具に対して、毎年30店前後を新規出店しているニトリという構図が大きく関係してきているのではないでしょうか。

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続いて、本業の儲けを示す営業利益面から両社を比較してみましょう。

直近の決算では、大塚家具の営業利益が4億円に留まっているのに対して、ニトリは730億円という非常に高い営業利益をたたき出しています。

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注目すべきはその利益率で、直近5年間の大塚家具の売上高営業利益率が最高でも2.2%なのに対して、ニトリは17%前後と驚異的な利益率を実現しています。

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