【サミット】影響力ないG7に“外交オタク”安倍総理が放つべき「矢」

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5月26日・27日に開催されるG7伊勢志摩サミット。「安倍総理の根回し大失敗。それでも伊勢志摩サミットを開催する理由」の記事中、サミットの「意義」そのものを疑問視した嶌信彦さんですが、今回ご自身の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では、開催するからには安倍総理は会議のリーダーシップをしっかりと握るべきであり、そしてそのためには何をすべきかについて私見を述べています。

安倍首相、弱り目G7に喝入れられるか?

安倍首相は、外交の晴れの舞台・サミットの議長を務めるにあたり胸をウズウズさせていることだろう。これまで首相になってから海外を訪れ首脳会談を行なってきた回数は60回以上。日本にやってきた首脳との会談も数えれば100ヵ国は超える。

いまや日本の歴代首相の中では首脳会談オタク外交オタクといわれるほどの存在だ。今回はそれこそ先進7ヵ国の首脳一同を「自宅」に招いてホスト役を務めるのだから、あれこれ演出も含め胸を高鳴らせているに違いない。

ただ残念なことに、かつてのような先進7ヵ国のサミット(G7)の権威は、すっかり失われてしまい、G7が世界を引っ張れるような力も無くなってしまった。冷戦終結の90年ぐらいまでのG7といえば世界のGDPの3分の2を占め、G7の合意は国際情勢を牽引したし、その先2~3年間の流れもほぼ決めていた。G7は国連安保理やIMF、世界銀行の国際金融機関の諸会議よりも権威にあふれた国際舞台であり、世界はその議論と共同声明にかかれた内容と優先順位を必死に読み解こうとしたものだ。

ある時期までは、アジアの代表であった日本がG7の事前と事後に東南アジア各国に希望を聞いたり、説明にまわったりして気を遣った。まさにG7は首脳たち7人が互いの国益をぶつけあいながらも、最後は議長が落とし所をまとめ結束を誓い合うことで世界を動かしてきたのだ

1975年にスタートしたサミットは、当初世界経済の安定をはかることに主眼がおかれていたが、次第に安全保障、対ソ連戦略、地球温暖化対策など世界の重要問題をすべてテーブルの上に乗せて議論しあった。また、いきなりG7を開くのではなく、シェルパと呼ばれる首脳たちの個人代表が何度も下準備の会合を重ね、最後にG7会合で首脳の裁断を仰ぐという緻密な議論の上に成り立っていた

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