懲戒解雇の社員に退職金を払わなかった会社は、なぜ裁判で負けたのか

 

みなさんの中には「懲戒解雇になるような問題を起こした社員に、退職金を支払う必要なんかない!」と考える人が多いでしょう。

確かに、倫理的に考えてその社員に退職金を払うべきがどうかであれば、払う必要はないでしょう。ただ、裁判の結果は違いました。「退職金をその社員に支払うように」と、会社が負けてしまったのです。

なぜか? 実は、この社員は懲戒解雇に相当はしましたが、そうなる前に、自ら退職したため懲戒解雇にはなっていなかったのです。この部分を裁判では「懲戒解雇された者には退職金を支給しないという規定はあるが、懲戒解雇に相当する事由がある者には退職金を支給しないとの規定はない」とされています。

いかがでしょうか? もしみなさんの会社で就業規則のこの部分が抜けていたら「懲戒解雇に相当する事由がある者には退職金は支給しない」という規定も早急に追加しておくべきでしょう。そうでないと、今回の裁判例のように処分決定前に退職届を出されたら退職金を支給せざるえないことにもなりかねません。

また、あわせて多いパターンとして社員が退職した後に懲戒解雇事由にあたることが発見されることもあります。その場合にも備えて「退職後在職中に懲戒解雇事由に相当する事実が発覚した場合は、退職金は支給しない。またすでに支給した退職金を返還させる」という規定も必要でしょう。

何事も、それが起こってしまってからでは遅すぎます。特に就業規則は、起こってしまってからの後からの改定は認められません。いざというときのために今のうちから見直してはいかがでしょうか。

image by: Shutterstock

 

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