中国よりロシア軍艦が先に
問題は、中国の軍艦より前に、ロシア軍艦が接続水域に入ったことでしょう。産経新聞6月10日から。
防衛省などによると、9日午前0時50分ごろ、中国海軍のジャンカイI級フリゲート艦1隻が久場島北東の接続水域に入ったのを海上自衛隊護衛艦「せとぎり」が確認。フリゲート艦は約2時間20分にわたって航行し、午前3時10分ごろ、大正島北北西から接続水域を離れた。
これに先立ち、8日午後9時50分ごろ、ロシア海軍のウダロイ級駆逐艦など3隻が尖閣の久場島と大正島の間を南から北に向かって航行しているのを海自護衛艦「はたかぜ」が確認した。9日午前3時5分ごろに接続水域を離れた。
これは、なんなのでしょうか?
アメリカは、「中国とロシアが、日米をけん制している」と見ています。つまり、「中国とロシアは、一体化して動いている」と。
尖閣接続水域侵入 米政府、日米同盟揺さぶりに警戒 自衛隊と連携し監視
産経新聞6月10日(金)7時55分配信【ワシントン=青木伸行】米政府は8日、中国、ロシア海軍の艦船が尖閣諸島周辺の接続水域に一時入った事態について、日本と日米同盟への牽制(けんせい)と受け止め、自衛隊と緊密に連携し警戒監視活動に当たっている。
政府は、「状況について報告を受けており、日本政府と連絡を取っている」(国務省東アジア・太平洋局)と強調している。
なんなのでしょう、この事態?
中ロ関係の今
つい最近安倍さんとプーチンがソチで会談し、「劇的に関係が改善されたのでは?」と思っていましたが…。自然に考えたら、「やはりプーチンは信用ならん奴だ!」となります。どうなんでしょう?
まず、ロシアについて、日本人は、勝手にこんな風に考えています。
「ロシアは、本音では反中。結局、分裂する」
これは、世界一の大戦略家ルトワックさんに言わせれば、「発明」ですね。「日本にとって都合のいい」ロシアを、勝手に「発明」したのです。
確かにロシアは、本音では「反中」です。しかし、「反〇」でも、同盟関係になったり、共に敵と戦うことすらあります。たとえば、2次大戦でアメリカは、最大の仮想敵ソ連と組んでドイツ、日本と戦いました。当時の日本の専門家が、「反ソのアメリカが、ソ連と引っ付くなどありえない!」と分析していれば、大間違いだったことになります。そう、中国とロシアがお互い軽蔑し合っていたとしても、利害が一致すれば引っ付くのです。
では、両国を結び付けている「利害」とは何でしょうか? そう、「アメリカ打倒」です。ロシアは、2014年3月の「クリミア併合」後、過酷な制裁を課され、経済的にとても苦しくなっている。そんな中、中国は制裁に加わらず、はっきりとロシアの味方についた。孤立したロシアにとって、中国は、事実上の「同盟国」なのです。私たちは、このことをはっきり自覚しておく必要があります。
安倍総理は、確かに親プーチンですが、それでも制裁に加わっている。ロシアから見ると、中国より、やり方が狡猾に見えるのです。ですから、今回のロシア軍艦の動きも、中国が頼んでロシアが応じたのでしょう。ロシアにとっては、一見何のメリットもない行動ですから。