イギリスEU離脱が確定。日本がほとんど報じぬユーロ経済「大不況」の実態

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イギリスで6月23日に行われた、EUからの離脱か残留かを問う国民投票の集計結果が、日本時間の午後12時40分過ぎに判明し、イギリスのEU離脱が確定しました。この結果は今後のイギリスや欧州経済にどのような影響をおよぼすのか、そもそもどうしてこの問題が起きたのか、人気コンサルタントの吉田繁治さんが無料メルマガ『ビジネス知識源:経営の成功原理と実践原則』で、今後の予測や離脱問題の原因などを速報で詳述しています。

緊急時事:英国のEU離脱が決定した

おはようございます。今、英国のEU離脱を問う国民投票の開票が行われています。結果はどうなるか。EUは、日本人にとって馴染みが薄い。EUと英国が加盟していないユーロの区別も言える人は少ないでしょう(※編集部注:24日午後12時40分現在、イギリスのEU離脱が確定したと、日本のNHK、英BBCなどが報道。EU離脱が決定した)。

【EUは28か国の準国家連合】

まずEU(欧州連合)です。欧州の28か国が加盟し、国家主権の一部をEUの機構(欧州議会、欧州理事会、欧州連合理事会、欧州委員会)に譲るものです。5年ごとの選挙で議員を選ぶ欧州議会と理事会で決定された法は、加盟国の法(ローカルルール)に優先します。準国家連合の仕組みをもちます。

【商品の動きでは関税の撤廃】

経済面で大きなものは、EU加盟国間での、関税の非課税です。商品の移動の障壁をなくしたのです。消費税のような付加価値税(VAT)の率は各国で異なりますが、28か国間の輸出入には関税はない。ただし、日本のようなEU外の国との貿易では、EUの共通関税を課しま
す(TARIC:EU統合関税)。

【人の動きでは国境審査の廃止】

次は人の動きに関する「シェンゲン条約」です。条約を結んだ、大陸のEU25か国内(人口では4億人)では、国境での審査が廃止され、自由に行き来して、居住、労働ができます。ただし島国のアイルランド英国などは除外されています。このためフランスから英国に行くときは、われわれも入国審査があります。なお日本人の、ビザ免除での1回のEU入国による最大滞在日数は、90日です。(注)永世中立を言うスイスと、歴史的に英独不信のノルウェーはもともとEUに加盟していません。

関税の撤廃が商品の移動を、シェンゲン条約が人(労働力)の移動を自由にしているのです。これがEUです。統一通貨(法定通貨)のユーロは、EU28か国のうち、19か国です。もっとも最近の加盟は、スロバキアの2009年でした。英国はもともとユーロには加盟していません。

【ビジョン】

EUは、二度の世界大戦を経た欧州で再び戦争を起こさないこと、米国に対抗できる28か国(5億740万人:米国の1.6倍)の自由貿易圏をつくるという2つのビジョンにより誕生しています。

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