クビにした理由を「社内公表」。名誉毀損で会社を訴えたら勝てるか?

 

会社が負けました。会社の行為は「名誉毀損である」と認められてしまったのです。では、このような社内公表はすべて名誉棄損になってしまうのでしょうか?それは、必ずしもそうとは言えません。

この裁判例では、「公表の際の文面が過激であった」「半ば、社員に強引に書面を配布した」という点も問題としてありました。

ただ、今後はどうすべきかというと、私は「実名による社内公表」はなるべく避けたほうが良いと考えます。その理由は2つあります。まずは1つ目の理由が「情報の拡散リスク」です。社員の情報漏洩の問題がたびたび話題になりますが、懲戒処分の公表も「社内」だけのつもりがいつのまにか「社外」にも拡がってしまう可能性があります(社員の中には悪意を持って拡散する人がいないとも言えません)。そうなると、そこに「実名」などの個人情報が載っていた場合、会社が訴えられる可能性があります。

そして2つ目の理由が「再発防止リスク」です。実名による社内公表はある程度の「再発防止」にはなります。ただ、それだけでは再発を劇的に減らすことはできません。本当に再発を防止するためにはなぜ問題が起きたかをしっかりと分析しそれに対する「具体的な対策を考えることが重要です。それにも関わらず、実名を公表することで「これで今後は大丈夫だろう」と安心してしまう会社が非常に多いのです。

このように考えていくとみなさんの会社の「懲戒処分の社内公表」は今のままで大丈夫でしょうか? 今一度、考えてみる必要があるかも知れませんね。

image by: Shutterstock

 

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