なぜ居酒屋「鳥貴族」は、280円均一で東証1部に上場できたのか?

 

まとめ(戦略ショートストーリー)

20代の若者をターゲットに「国産鶏肉へのこだわり」、「手作りへのこだわり」に支えられた「安い」「美味い」「早い」という強みで差別化を実現しています。

280円という安さにも関わらず、味やボリュームにこだわった焼き鳥などのメニューを提供し、コスパ(コストパフォーマンス)の高さで顧客の支持を得ています。

分析のポイント

「コストパフォーマンスの追及」

鳥貴族は30年もの間、鳥貴族の店舗ブランド一つで均一価格で勝負して、現在は東証一部上場企業となっています。長年の経験の蓄積で、均一価格でもしっかり儲けを出すことができるノウハウを持っているということです。

一方で大手居酒屋チェーンも低価格の均一店舗を出店したもののうまくいかない店舗が多かったようです。低価格均一という強みを短期的には真似ができても、長期的に真似をすることは難しいということです。

なぜ長期的に真似をすることが難しいかというとコア・コンピタンスに差があるためです。

30年間、同じブランドで均一価格のお店を運営している鳥貴族は出店場所の選定やメニューの絞り込み、スタッフの手間の削減など、低価格でも儲けを出すためのノウハウコア・コンピタンスの蓄積があります。

しかし、低価格の均一店舗を出店したチェーン店には、鳥貴族のようなノウハウが蓄積されていないわけですから、儲けを出すことが難しく店舗を継続することも困難になったということでしょう。

そして、鳥貴族の強みは「安さ」だけではありません。鳥貴族のコンセプトは「280円均一の感動」であり、「安さ」に加えて、おいしさやボリュームなども強みになっています。つまり、安くすれば継続的に売れるというわけでないということです。

280円という価格で、この味(美味しさ)、このボリュームなど顧客が支払う金額よりも価値が高いと感じなければ、顧客は喜んでお金を支払うことはないでしょう。

安さと味を両立させ顧客を感動させる努力、要するにコストパフォーマンスを高めることを追及してきたからこそ業界全体として厳しい状況の中、右肩上がりの成長を続けることができているのです。

今後、どこまで鳥貴族の快進撃が続くのか楽しみですね。

 

 

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