「離脱派トップに騙された」EU問題に揺れる英国から邦人が生レポート

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EU離脱という大きな決断を下したイギリスですが、決定後に離脱派が訴えてきた公約の「嘘」が暴かれ、またも国内に激震が走り、SNSは「騙された」という書き込みで溢れました。そんな中、今後イギリスをまとめていく人物と見られているのが「メイ内相」です。彼女は第二のサッチャーとなれるのでしょうか? 無料メルマガ『出たっきり邦人【欧州編】』で、ロンドン在住の藤隼人さんが大揺れの現地の様子をレポートしています。

狂言に翻弄された英国の先行き

6月23日に英国で行われた欧州連合(EU)残留・離脱を問う国民投票の結果が離脱となったことを受け、世界全体にこれが及ぼす影響が懸念されてショックを引き起こしたのは周知のことかと思われます。

投票結果が明らかになった翌日の24日早朝に離脱のニュースを聞いた時は耳を疑うほどでした。民主主義に則って行われた投票なので、結果を尊重すべきであることは当然ですが、それよりも驚いたのは残留支持派、離脱支持派ともにまったく不測の事態に備えて策を練っていなかったことです。残留支持派を率いたキャメロン首相は残留と当然のこととばかり、EU加盟についてのメリット・デメリットの説明を十分行わず、万が一に備えた策を準備していなかったことが明らかになりました。

一方、勝者であるべき離脱支持派も勝利を期待していなかったようで勝利した際にどのような手際でEU離脱プロセスを進めるかを全く考慮していませんでした。そればかりか、離脱派の先鋒(せんぽう)だった前ロンドン市長のボリス・ジョンソンは次期首相の座を目指して運動を繰り広げていたものの、全く道筋を示さないばかりか、与党内での支持を取り付けることにも失敗して、真っ先に首相候補から脱落。客寄せパンダに成り下がってしまった有様です。

国政の長、さらにその位置を目指すこうした政治家をみていると、政治家の資質というよりはいかに世論を懐柔する術に長けているかが英国の政治を左右しているように思えてなりません。封建社会から立憲君主制へと移行し、近代民主主義を育んできた英国も大衆迎合主義に陥り、国際社会における自らの立ち位置を見失っているように見受けられます。

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