無責任、不安、孤独感… 「ピーターパン症候群」なオトコの特徴は?

2016.07.22
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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大人の年齢に達し身体は立派な成人なのに、精神的に大人になれない…というよりは、大人になることを拒んでいる男性。こうしたパーソナリティを、1980年代初頭に米国心理学者ダン・カイリーは「ピーターパン症候群」と名づけました。

精神医学の正式用語ではありませんが、パーソナリティ障害に似たコンセプトと言えるでしょう。

「身体は大人、心は子ども」のピーターパン症候群とは?

 表面的にはプライドが高く立派な大人のように見えても、内心、非常に傷つきやすく臆病な男性。
ピーターパン症候群には次のような特徴がみられます。

・12~50歳の男性
・「無責任」「不安」「孤独感」「性役割における葛藤」の基本症状を抱えている
・人生において漠然とした不平不満を持っているが、自分はノーマルだと思っている
・成長した大人を演じようとし、第一印象はよく、深く知らない人には好感をもたれやすい
・結婚して父親になり安定した仕事は持っていても、人生は退屈だと絶望している
・45歳ころから憂うつや苛立ちの症状が強く表れ、それまでのライフスタイルに反抗する
・デートは年下や幼い印象の女性を好む。
・結婚後は家庭よりも友だちを優先する

・若いころは職を転々とし必要に迫られなければ働かない。立派なキャリアにあこがれるが努力を嫌う
・年長になると仕事人間が増える
・豊かな家庭で育った長男に多い。父親はデスクワーク、母親は専業主婦のケースが多い
・パーティ好きで、騒ぐのが好き

人当たりは悪くないけれど未成熟で、積極的に社会に適応していこうとはしないパーソナリティです。

 その原因には、経済的な豊かさとこれに反比例する精神的な貧しさや、両親の不和といったことがあるようです。このことは、1980年代のいわゆる「バブル期」を象徴する文化でもありました。

自己愛と男尊女卑へ向かう「ピーターパン症候群」基本的な4つの症状

無責任

過保護に育てられて「自分は特別」と思っている。でも、さまざまなことを訓練していないので、自分に自信がない。

不安

両親の不和、子どもの頃からの家庭の緊張感、温かいコミュニケーションの欠如、遊びと仕事のアンバランスなど、両親の結婚生活の悪影響で不安になっている。

孤独感

経済的に豊かな家庭で育っているので、働くことへの価値観が崩壊し、時間を持て余している。そこで、流行を追いかけ、たくさんの友だちを作って仲間外れにならないようふるまっているが、神経をすりきらせて結果的に「孤独感」だけが残っている。

性役割の葛藤

「男らしくあれ」ということに適応できずに、葛藤している。

一言でいえば「未熟」なパーソナリティは、上に挙げた4つの基本症状が発展して、ナルシシズム(自己愛)と男尊女卑の傾向を生み、愛を通して成長することを阻んでしまうと言われています。しかし、ピーターパン症候群の男性たちは、こうした自己愛や男尊女卑を露骨に見せることはなく、表面上は「やさしく」ふるまいます。

ピーターパン症候群の恋愛傾向とは

 次のような項目に該当すると、ピーターパン症候群の傾向は強いとされています。

・記念日や誕生日といった大事な日を忘れる
・「ごめんなさい」の一言がどうしても言えない
・友達のためなら何でもするが、彼女や妻からの頼みはほとんど無視する
・自分から出かけたい時以外は「外出しよう」と言わないし、何かしようと自分から提案しない
・父親とは「会いたい」と思っているが、いざ目の前にすると深みのない会話しかできない
・自分と違う意見に耳を貸そうとしない
・不平不満を言うだけで、何もしない
・アルコールが入ると人が変わり、カラ元気にはしゃいぎ、理由もなく怒りだす
・わけのわからない不安におびえたり、自信が無くなったりする。でも、それには触れられたくない

ピーターパン症候群の男性に惹かれる女性の2つのタイプ

 ピーターパン症候群の男性に惹かれる女性には2つのタイプがあります。

一つは男性の面倒見が良くて、過保護な母親を演じてしまう「ウェンディ・タイプ」。共依存に走ってしまうタイプです。

もう一つは、ピーターパン症候群の男性の未熟さに気づいていても、「いつかは大人になるだろう」と期待してつき合ってくれる「ティンカー・ベル・タイプ」です。

言い換えると、ウェンディ・タイプは甘やかすのに対してティンカー・ベル・タイプは、対等に協力し合って成長したいと願うタイプです。こうしたタイプが、ピーターパン症候群を抜け出し、成熟した男性になっていくには必要です。

とはいえ本人も付き合う彼女も、そのことに気がついて十分に関係しあっていくには、途中で大きなストレスにも耐えなければならないでしょう。

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
監修:岡本 良平(医師)
 
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長

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